概要

 獣医学部で扱う動物は3種類に分けられる。牛や馬などの大動物、犬や猫などの小動物、イグアナやフェレットなどのエキゾチックアニマルである。その中でも獣医学生に人気なのが小動物である。入学当初は8割が小動物病院への就職を希望するが、卒業までにその希望が変わらない学生はあまり多くない。
 実際に小動物病院へ就職するのは獣医学生の3割である。これがいわゆる「獣医」である。残りの3割が保健所や検疫所などで働く地方公務員、農林水産省や厚生労働省、環境省に入り国家公務員になる。最後の4割は製薬会社や動物園や水族館へ就職する。
 高校生からすれば、獣医=ペット医のイメージであるが、6年間の勉強により様々な進路が見えてきて、最終的には上述のような結果となる。

分野

小動物臨床

 ペットなどの伴侶動物を主な対象として診療を行う。動物病院の獣医師である。小動物を診る獣医師の場合、卒後臨床研修はこうした動物病院で行うことが一般的である。そして、数年間の研修後に開業することもあるが、開業すれば収入は上がる。しかし、競争も激しい。動物病院には一次診療施設と二次診療施設があるが、開業する場合は一次診療施設となる。

産業動物臨床分野

 牛や馬、家畜の診療を行う。産業動物と呼ばれるだけに、JAやNOSAIなどが家畜診療センターや家畜診療所などを設置しており、この分野で働く獣医師はこうしたセンターや診療所に勤務する団体勤務獣医師か、一般開業獣医師のいずれかになる。団体獣医師の場合はその団体に各種の臨床研修制度がある。団体勤務獣医師の待遇は地方公務員に準じているが、各種手当を含めると公務員よりは収入が多い。馬の場合は、北海道や九州のNOSAIとJRAに限られる。豚の場合は大規模農場で数千頭もの集団飼育を行い、厳密な衛生管理が必要となり、高い専門性が要求される。

公衆衛生分野・行政分野

 大きく地方公務員と国家公務員に分かれる。
 地方公務員の場合は、公衆衛生獣医師と家畜衛生獣医師に大別される。公衆衛生獣医師の場合は、各都道府県の食肉衛生検査所などで、と畜検査員や食鳥検査員として食肉になる際の安全性を最終チェックする。これは獣医師でないとできない業務である。一方、家畜衛生獣医師は、生きている家畜を対象とし、家畜保健衛生所などで家畜伝染病の発生予防や精密検査などを行う。
 国家公務員の場合は、農林水産省や厚生労働省、内閣府食品安全委員会、環境省などに入省して、各省が管轄する領域の企画や調査、検疫・検査、施策・立案などに携わる。例えば、農林水産省関連では、国内の家畜防疫に関する企画・調整・指導や、動物・畜産物の輸出入検疫などである。厚生労働省関連では、食品・添加物・残留農薬の規格・基準の設定や、輸入食品の監視・検査、人獣共通感染症などに対する施策・立案などである。行政機関で働くほか、試験研究機関や検査指導機関などでも働いている。国家公務員の行政分野においては、国際的に獣医師に対する期待が高まるなか、日本でも多くの獣医師が国際機関で活躍している。国全体の未来に関わるような大きなスケールの仕事ができる魅力がある。なお、公務員は休暇(年次休暇、産前・産後や育児休暇)や研修面などの待遇が整っている。

ライフサイエンス分野

 生命現象を追究する研究志向の強い分野で、大学教員をはじめとして、各種研究機関で働くことになる。国立または独立行政法人の研究機関でいえば、日本の家畜衛生研究を主導する動物衛生研究所や、国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所などで獣医師が研究活動をしている。
 民間企業の研究機関の例としては、製薬企業や食品企業などがあげられる。特に製薬企業の場合は獣医師出身者の比較的大きな受け皿である。というのも、創薬では必ず動物実験を行うが、実験動物を管理したり、人や動物用医薬品の開発のため、実験動物を用いた有効性や安全性などに関する研究は獣医師の能力が活かされる分野であるため、需要は大きい。また、食の安全への関心が高いこともあって、獣医師は、今後は食品企業にも活躍の場を広げていく可能性がある。いずれにしても、ライフサイエンス分野は、獣医師の進出先としてこれから期待できる分野といえる。

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