概要 †
- 旧制高等医学専門学校から大学令に基づいて旧制医科大学となった大学群である。戦前から、各地域の医療を中心的に担う官立医科大学として設立されてた岡山大学医学部、長崎大学医学部、千葉大学医学部、金沢大学医学部、新潟大学医学部、熊本大学医学部のことを指す。難易度も旧帝国大学に次ぎ、似たような立地や隣県の医学部と比較すると高難易度となる。また、その地域の核的な存在となり、周辺の地方医学部に対しては指導的立場にある。
- 官立六医科大学以外の戦前からの官立大学は5校あり、東京工業大学、東京商科大学(一橋大学商学部)、神戸商科大学(神戸大学経済学部)、東京文理大学(筑波大学教育学部)、広島文理大学(広島大学教育学部)を加えて旧官立11大学などと呼ばれる。7帝国大学はuniversity、11官立大学はcollegeとして、医学、商業、工業、教育など実学的な専門性を持つ教育機関であった。
交流 †
- 6大学とも看板学部が医学部であるにもかかわらず、医学部間での交流は皆無に等しい。せめて合同の体育大会でも開催したらどうだろうか。
- ただし国立六大学連携コンソーシアム(SixERS)が存在する。2013年3月より、千葉大学、新潟大学、金沢大学、岡山大学、長崎大学及び熊本大学の国立六大学が、自主自立を尊重しつつ連携して、教育・学術研究・社会貢献等の機能を一層強化し、グローバル社会をリードする人材育成の推進と学術研究を高度化することを目的として設立された。これにより六大学間での単位互換制度や共同研究プロジェクトが少しずつ動いている模様。しかしながら現在は旧帝国大学や私立医学部御三家、あるいは早慶やMARCHのような知名度のある大学群として認知されてはいない。SixERSのウェブサイトの活動報告には、アジア諸国との連携をアピールするものばかりが目立つ。国内向けのアピールはしない方針なのだろうか。
沿革 †
- 前身は元々、専門学校令に基づく公立もしくは官立医学専門学校であり、1922年岡山と新潟が、1923年千葉、金沢、長崎が、1929年熊本が官立移管し官立六医科大学となった。それぞれの源流は1800年代にまでさかのぼる。以下に、その源流、〜校と名付けられた年、医科大学設置年を示す。
起源と前身校 †
大学 | 年 | 施設 |
岡山大学医学部 | 1870年 | 岡山藩医学館 |
1880年 | 岡山県医学校 |
1922年 | 岡山医科大学 |
新潟大学医学部 | 1869年 | 施蘭薬院 |
1910年 | 新潟医学専門学校 |
1922年 | 新潟医科大学 |
千葉大学医学部 | 1874年 | 共立病院 |
1882年 | 県立千葉医学校 |
1923年 | 千葉医科大学 |
金沢大学医学部 | 1862年 | 種痘所 |
1884年 | 石川県甲種医学校 |
1923年 | 金沢医科大学 |
長崎大学医学部 | 1857年 | 長崎養生所 |
1887年 | 第五高等中学校 |
1923年 | 長崎医科大学 |
熊本大学医学部 | 1756年 | 再春館 |
1922年 | 県立医学校 |
1929年 | 熊本医科大学 |
序列 †
- 旧六医科大学は単純な序列化が非常に難しい。なぜなら6大学のいずれも特徴的な魅力を有するためである。
- 本サイトではその中でも比較しやすい、偏差値・研究・関連病院・立地の点に着目してみよう。
偏差値 †
- 千葉が頭一つ抜けており、地方旧帝大とほぼ同等の水準を誇る。
- その他については大差ないが、岡山がやや難しいだろう。ただし、これら5校の受験難易度は年度や倍率によって変動する。
2020年度 合格者平均成績 †
(河合塾全統記述模試平均偏差値)
千葉: 71.0
新潟: 68.1
金沢: 68.1
岡山: 68.9
長崎: 68.7
熊本: 67.7
6校すべて平均偏差値67.5を超えており、ハイレベルであった。
- 2020食べて応援の【東海高等学校】からの進学者は、 新潟金沢京都府立が各1名ずつ。 その他は0であった。
研究 †
- 基礎研究で実績を挙げている熊本が最も強いだろうか?とはいえ他5校のいずれも国内外に影響力のある研究所を有しており、甲乙つけがたい(詳細は各大学のHPなどを参照されたい)。また多くの大学が研究医養成プログラムを有しており、意欲のある者は学部生のうちから研究室で研究に励むこともできる(千葉大学、岡山大学、金沢大学)。中でも熊本大学は特徴的であり、高校に在学中から研究室の指導を受けることができる。
QS世界大学ランキング(2020)医学分野
11位 金沢大学
13位 千葉大学
15位 熊本大学
16位 岡山大学
20位 長崎大学
27位 新潟大学
出典:
https://www.topuniversities.com/university-rankings/university-subject-rankings/2020/medicine
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関連病院 †
- 岡山は中四国において非常に大きな支配力がある。関連病院は200を優に超えており、その数は日本でも指折りである。
- それに次ぐのは金沢だろう。特に北陸三県において極めて大きな影響力を持つ。
- その他4校は大学県内の病院を強固に抑えている。
立地 †
- 千葉を除いた5大学は街の中心地にキャンパスがある。好立地のため学生生活を楽しめるだろう。むろん千葉は首都圏にあるというアドバンテージがある。
所在地 | 面積 | 人口 | 人口密度 | 市役所-大学 |
千葉市 | 271.77km2 | 982,149人 | 3,614人/km2 | 3.3km |
金沢市 | 468.64km2 | 463,005人 | 988人/km2 | 5.2km |
新潟市 | 726.45km2 | 793,586人 | 1,092人/km2 | 0.3km |
岡山市 | 789.95km2 | 721,046人 | 913人/km2 | 0.7km |
長崎市 | 405.86km2 | 407,624人 | 1,004人/km2 | 3.5km |
熊本市 | 390.32km2 | 738,587人 | 1,892人/km2 | 1.1km |
補足: 地方私立医と旧六 †
- 私立医学部の多くは東名阪などの都市圏にあるが、中には地方に位置する大学もある。
- その中でも川崎医科大学、金沢医科大学はそれぞれ岡山と金沢の強い影響下にあることが知られている。
- 建学当初、川崎・金沢医科の両校は、教育・臨床・研究という全ての面において岡山・金沢に大きく依存していたが、現在では少しずつ独立しており、自校出身の教授を輩出している。
- しかしながら、理事などの要職には依然として影響が色濃く残っているのが現状である。
補足: 京都府立医科大学 †
- 上述の通り、京府医は旧制の官立大学を経ていないために旧6には含まれないが、歴史的な経緯では旧6格である。京都市内の中心部という好立地にあることから、受験難易度は旧6最上位の千葉に肉薄し、また関連病院は(京都府内に限り)京大よりも充実している。しかしながら、公立の単科医大ということもあり、研究費に乏しいのが欠点である。
コメント †