詳細日本史研究
詳細日本史研究

解説

山川の教科書をベースとした詳細解説書。学校で使用する教科書は文字が主体となりがちであるが、本書は図表や写真が多くちりばめられているため、知的好奇心をそそられるつくりとなっている。内容としては教科書よりも記載量が多く、難関大受験者にとっては適度に詳しい作りになっている。東大・京大・一橋・早慶上位学部を目指す受験生は持っておくと心強い。「詳しすぎる」との声もあるが、本書はたかだか500ページ程度であり、1時代1時代の記載量はそれほど多くはない。トップ校の受験生ならば本書を使いこなしてほしい。

そうはいっても、全てを覚えるというのは効率が悪い。「使いこなす」というのは通読ではなく、辞書的用法として「使いこなす」という意味である。本書を全国大学入試問題正解日本史に取り組む際の解説書として使用するのである。全国大学入試問題正解日本史は前年の100学部が出題した日本史問題が掲載されており、問題演習&知識整理に最適である。しかし、解説がほとんどないため、詳細な解説書が必要になる。それが本書である。
本書と全国大学入試問題正解日本史を併用することで、覚えるべき個所がはっきりとわかってくるだろう。

Good

・受験生あるいは大学生以上の人には概説書として量も質も適切。

・本書を読んで一通り各時代についての知識を獲得すれば、世に流通する歴史本の水準がある程度は分かる。

・記述だけなら教科書で十分かも知れませんが、建物、仏像、絵画などのカラー写真が役立ちます。

・限られたスペースに日本史を論じ、考えるために必要な知識と流れを、周到な配慮の下に詰め込むことに成功した執筆人の力量を高く評価したい。図版を多用し多色刷りとしたことで、ビジュアル面でも親しみやすい。

・験用といったつまらない目的にとらわれず、向学心に溢れた社会人が読むことを念頭に、豊富な解説とともに、カラー写真等をふんだんに掲載しています。

Bad

・国公立大学の論述問題対策用としてはもう一つの感も無きにしも非ずで、論述問題にはさほど役に立たないこともあるかも。限られた頁数で概説書として編集されているので、各社から出ている日本通史や特定の主題に絞った新書に比べると記述が物足りない。

・内容が受験では問われないレベルまで突っ込んでいる。

・歴史的な流れの、大まかの概要を知るには、適した副読本であろう。しかし、難を云えば、説明の内容が浅く、平板すぎる事であろう。平安時代の文学作品や、平安末期から鎌倉中期に掛けての、宗教著作、歴史著作、随筆集、物語集、などの、著作名だけは挙げられるが、時代背景の中に於ける、それらの著作の意義、なども、詳細に分析展開されるべきだろう。

詳説日本史研究のデータ

分類対象偏差値ページ数著者出版社発行日価格Amazon
私大2次対策60〜80552佐藤信、高埜利彦
鳥海靖、五味文彦
山川出版社2008/082500円

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