概要 †
解説 †
- 福岡県福岡市に位置する県立高校である。
- 修猷館(しゅうゆうかん)と読む。
- 福岡県の公立トップ校であり、福岡県第6学区に属する。
- 230年以上の歴史を持ち、福岡県屈指の名門校とされる。
- その歴史は1784年(天明4年)の藩校時代にまで遡り、この年を持って本校の創立としている。元々は男子校であったが1949年に共学化している。
- 校名「修猷」の由来は、古代中国の歴史書である尚書(書経)「微子之命」の一節「踐脩厥猷」(その猷(みち)を実践し修める)から取ったものである。
- 修猷館高校の前身は福岡藩の藩校である。初代藩主の黒田長政は、父であり、現在は大河ドラマで有名になった黒田官兵衛の意向もあり学問を奨励した。その後、藩からは貝原益軒という著名な学者を輩出し、儒学を中心とする学究の気風が根づいていった。1784年に開設された修猷館の初代総受持(館長)は、福岡藩において儒学の大元締めだった竹田家の定良であった。つまり学問を究めようというベースがもともと福岡藩には存在し、修猷館はその実践の場であったのだ。
- 同市にある福岡高等学校、筑紫丘高等学校と合わせて「福岡公立御三家」と呼ばれライバル関係にある。
- 福岡市の文教地区と言われる西新に位置する高校で立地が良い。伝統があり、福岡の財界トップや政界にも修猷館出身者が多く、同窓会の繋がりが非常に強い。それに加えて自由な校風である。こうした背景から福岡県の高校入試においてトップクラスの人気と入試難易度を誇っている。
- 医学部希望者のクラスが1クラス設置されているが、公立高校らしく学校全体の医学部志向はそれほど高くない。
- 医学部志向はそれほど高くないが、それでも国公立医学部には毎年20名~30名ほどの合格者を出しており、福岡県内では久留米市にある久留米大学附設高等学校に次いで2位である。
- 九州大学(非医学部)への進学志向が非常に強く、現浪合わせて毎年100名を超える合格者を出す。標準入学先は九大下位学部だが、校内順位の真ん中付近からでは現役合格はぎりぎりとなるだろう。公立進学校の例に漏れず浪人率が高くなっている。
- 入学難易度は高いが、公立高校らしく入学後に部活や行事に打ち込む生徒が多いため進学実績では同県の久留米大附設に及ばない。そもそも九州大学に進学できれば良いと思っている生徒が多数派であり、附設のように東大や医学部を目指す志向はかなり低い。中には東大や医学部に行ける学力があっても、あえて九大を選ぶ生徒が存在するほど九大志向、地元志向が強い学校である。
- 附設共学化の際、福岡市内の優秀な女子中学生が附設に流れ、修猷館の進学実績が低下するのではないかと言われていた。しかし結局は変化しなかった。このことから附設に進学する層と修猷館に進学する層はそれほど被っておらず、住みわけがされていたことがわかる。勉強に集中して東大、医学部を目指す生徒は附設へ、学校行事や部活を楽しみつつ地元の九大を中心に目指す生徒は修猷館へといった具合である。
- 全国的に見ると実力は金沢泉丘、国立、湘南、札幌北、一宮あたりと近い。同じ九州の上野丘や鶴丸より高いが、現役生の学力が高い熊本高等学校あたりには20点以上の大差を付けられてしまう年も多い。大都市福岡市内にあるとはいっても全国屈指の細かく分けられた学区の背景人口ではむしろ及ばないので致し方ない面もある。
- 学区の撤廃による修猷館の更なる進学校化を望む声は昔から上がっているが、福岡高等学校、筑紫丘高等学校など、他学区のトップ校が凋落し県内の公立校のパワーバランスが崩れるという懸念から、中々実現が難しいというのが現状である。
- かつては既卒生のためのクラスである「修猷学館」が存在した。実質予備校のようなものであり、九州大学医学部などの名門大学へ多数輩出したが、1995年に閉校となった。
合格実績 †
年 | 国公立医学科 | 東大 | 京大 | 一橋 | 東工 | 北大 | 東北 | 名大 | 阪大 | 九大 |
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合計 | 理三 | 京大 | 阪大 | 九大 | 熊本 | 長崎 | 鹿児 | 佐賀 | 大分 | 宮崎 | 琉球 | 山口 |
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2024 | | | | | | | | | | | | | | 18 | | | | | | | | |
2023 | 34 | 0 | 0 | 0 | 5 | 2 | 5 | 2 | 7 | 2 | 1 | 0 | 1 | 13 | 21 | 1 | 0 | 3 | 1 | 3 | 11 | 115 |
2022 | 27 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 2 | 4 | 4 | 2 | 1 | 0 | 0 | 11 | 20 | 5 | 1 | 9 | 2 | 3 | 19 | 123 |
2021 | 23 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1 | 3 | 7 | 3 | 0 | 1 | 1 | 18 | 19 | 1 | 2 | 5 | 4 | 0 | 12 | 99 |
2020 | 24 | 0 | 1 | 0 | 4 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 2 | 0 | 2 | 16 | 11 | 3 | 3 | 3 | 0 | 3 | 12 | 128 |
2019 | 29 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 4 | 2 | 6 | 4 | 1 | 2 | 3 | 11 | 18 | 2 | 6 | 4 | 2 | 2 | 8 | 126 |
2018 | 26 | 0 | 0 | 0 | 5 | 2 | 1 | 2 | 6 | 1 | 1 | 2 | 2 | 19 | 15 | 1 | 5 | 4 | 0 | 1 | 14 | 129 |
2017 | 33 | 0 | 1 | 0 | 9 | 5 | 3 | 1 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 14 | 22 | 4 | 2 | 5 | 2 | 0 | 12 | 132 |
2016 | 27 | 0 | 0 | 0 | 9 | 0 | 4 | 1 | 2 | 3 | 1 | 0 | 1 | 8 | 10 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 | 13 | 135 |
2015 | 23 | 0 | 0 | 0 | 6 | 2 | 0 | 4 | 2 | 4 | 0 | 0 | 1 | 21 | 15 | 1 | 2 | 4 | 2 | 1 | 5 | 109 |
2014 | 25 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0 | 5 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 7 | 20 | 7 | 4 | 7 | 2 | 1 | 9 | 134 |
2013 | 22 | 0 | 0 | 0 | 5 | 3 | 2 | 3 | 1 | 3 | 2 | 0 | 0 | 17 | 11 | 3 | 3 | 3 | 1 | 0 | 13 | 138 |
2012 | 15 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 8 | 5 | 3 | 3 | 3 | 1 | 0 | 5 | 107 |
2011 | 25 | 0 | 0 | 0 | 11 | 1 | 5 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 13 | 16 | 4 | 4 | 6 | 3 | 1 | 13 | 135 |
2010 | 26 | 0 | 0 | 1 | 8 | 3 | 8 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 3 | 14 | 6 | 2 | 1 | 5 | 1 | 3 | 11 | 105 |
2009 | 21 | 1 | 0 | 0 | 8 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 4 | 15 | 4 | 8 | 4 | 1 | 0 | 0 | 3 | 105 |
2008 | 16 | 0 | 1 | 0 | 6 | 0 | 2 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 19 | 8 | 4 | 1 | 2 | 0 | 1 | 9 | 134 |
2007 | 18 | 1 | 0 | 0 | 4 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 0 | 2 | 1 | 18 | 2 | 2 | 3 | 1 | 0 | 0 | 3 | 96 |
2006 | 21 | 1 | 0 | 1 | 4 | 2 | 1 | 1 | 0 | 4 | 1 | 0 | 1 | 9 | 7 | 3 | 2 | 3 | 0 | 1 | 3 | 152 |
2005 | 16 | 1 | 0 | 0 | 7 | 2 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 17 | 9 | 3 | 3 | 5 | 2 | 1 | 8 | 126 |
赤色は1位
参照:進路概況
参照:進学校データ名鑑(修猷館)
参照:サンデー毎日 週刊朝日 医学部に入る(週刊朝日ムック) 大学入試全記録 大学通信
上記集計の国公立医は、防衛医を除いています
・東大の最高は27人(1972年)
・九大の最高は211人(1967年)
高校生活 †
- 福岡市西新に位置し、地下鉄の駅が学校の目の前にある。学校の前の通りは、漫画「サザエさん」ゆかりの地であり「サザエさん通り」と呼ばれる。
- 校則が基本的に存在せず生徒手帳もない。スマホの持ち込みや校内での使用もできる。制服はあるが髪型は自由。
- 校風は昔ながらのバンカラな校風。入学して早々に行われる応援歌指導など伝統校ならではの独特な行事も存在する。
- 学校行事の運営が生徒に任せられており、教師は介入しない。
- 主な行事は大運動会、大文化祭、十里踏破遠足。
- 前期後期の2学期制を採用している。
- 0次限目という補習時間が午前7時35分から始まる。授業時間は50分。昼休憩は2回あり、通称一昼(午前11時50分~午後0時30分)と二昼(午後1時20分~午後1時40分)である。
- ラグビー部、陸上部、ディベート部などは強豪である。
制服 †
クラス編成 †
- 2年次から文系と理系に分かれる。
- 各学年10、11クラスの編成であり、文系が4クラス、理系が6、7クラスである。
- そのうち文系と理系に一クラスずつ「英数クラス」というクラスが存在しており、文系の生徒であれば東大、京都大学、一橋大学を目指す生徒が所属する。理系の生徒であれば東大、京大を目指す生徒が所属する。
- また理系には「医進クラス」というクラスが一クラス存在し、医学部医学科を目指す生徒が所属する。
- 英数クラス、医進クラスを希望する者は基本的に入ることができる。
著名な卒業生 †
- 広田弘毅(内閣総理大臣、東大卒)
- 横倉義武(医師、日本医師会長、久留米大卒)
- 井桁弘恵(女優、早大卒)
- 喜入友浩(TBSアナウンサー、東大卒)
- わちみなみ(タレント、明大卒)
- ひぐち君(芸人、関西学院大卒)
など
入試 †
- 原則、福岡県第6学区内の中学校(約40校)からしか受験できない。昔は学区内に住民票だけを移して受験する、いわゆる寄留を行い受験する生徒も存在した。ときに佐賀県や山口県などの県外から入学する生徒もいた。たとえば、本校の卒業生で元武田薬品工業会長の長谷川閑史氏は山口県から寄留し本校に入学している。現在は規則が厳格化され寄留による受験はほぼ不可能となっている。
- 中学校内申点は40あれば安心。(9科目45点満点)
- 基本的に学区内の各中学校の成績上位5番くらいの生徒が入学しているが、50名ほどの合格者を出す優秀な中学校も存在する(百道中学や高宮中学が該当)。教育熱心な家庭は、これらの中学校に入学するために居住地を選択するケースも少なくない。だから優秀な生徒が集まってくる。
コメント †