背景

  • 1990年以降、医科や調剤の医療費は増大するものの、歯科の医療費は2兆5000万円で変わらず推移した。
  • 一方で歯科医師数は7.5万人から10万人へ増加し、一人あたりの取り分は減った。
  • また、私立歯学部における国家試験合格率は低下し、留年率も高くなった。
  • 適切な教育がなされないとの見立てが広がり、私立歯学部の入学志願者が大きく減少した。
  • 歯学部の学費は私立医学部の学費と同等程度であるが、待遇面では医師に劣るため、敢えて私立歯学部に進学する者はいなくなった。

定員推移

定員
1960年740人
1981年3360人
1996年2714人
2014年2460人
2019年2470人
  • 1960年には690人で入学者が790人であった。ところが1975年になると、定員が2220人で入学者が3083人というように、爆発的に増えた。
    • 他学部ではこれだけの定員オーバーはあり得ないが、当時の社会情勢として歯科医師養成のプレッシャーが大きく、毎年のように定員を超えた入学者を許可していた。
  • 定員ピーク時1981年度~1985年度の3,380人を1998年度には2,714人まで、666人(19.7%)削減した。その後さらに、平成10年の厚生省の需給検討会で「10%程度の削減」が提言されたが、10年度~20年度の10年間でわずか57人(10年度の定員2,714人に対する割合、2.1%)の削減に留まっていた。
  • ただ、2008年度~2010年度において、国公立大での入学定員の削減はなかったが、私立大では46人(20年度の私立大歯学部募集人員1,937人に対する割合2.4%)が削減されている。
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  • 上記図においても、2010年頃が志願者最少である。
  • 20005年までは前期仁手の志願者は2500人前後で推移し、2009年には1500人となった。再び持ち直し、現在は2000人前後で推移している。

近年の充足率

  • 2010年頃は10大学程度が定員割れを起こしていたが、2020年現在、定員割れの大学は2-3個ぐらいに減少している。
  • 歯学部全体の「入学定員充足率」をみると、2008年度96.9% → 2009年度92.4% → 2010年度84.7% → 2011年度87.8%と、上昇に転じた。
  • 定員割れ問題は、2008年頃をピークに改善しつつある。その背景に、歯学部が学費値下げをし、志願者減に歯止めがかかり、上昇に転じたことが挙げられる。定員に関してはほとんど変わっていない。
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  • 以下、定員割れしやすい歯学部の充足率を示す。

北海道医療大学

志願受験合格入学充足率
201943641635483101%
20183653423055771%
20173533382845771%

岩手医科大学歯学部

定員志願受験合格入学充足率
2019571551241095087%
201857126114984681%

奥羽大学歯学部

定員志願受験合格入学充足率
2019961901821314446%
2018962262161484446%
2017961941841344244%

鶴見大学歯学部

定員志願受験合格入学充足率
20191153953142138473%

神奈川歯科大学

定員出願受験合格入学充足率
201912011899%
201811698%

松本歯科大学

定員志願受験合格入学充足率
2019961701601488589%
20182242111738993%
201729228117796100%

福岡歯科大学

定員出願受験合格入学充足率
2019932382201788594%
201897101%
20178795%
  • 6-7年前と比較すると定員割れはしにくくなってきている。2019年に至っては。北海道医療大学、神奈川歯科大学は定員を満たしており、福岡歯科大学や松本歯科大学も近年ほぼ100%である。
  • 大幅に定員を割れている大学は、奥羽大学と鶴見大学である。

2010年

この年が定員割れの最盛期である。

大学定員入学者充足率
北海道医療大学964850%
岩手医科大学歯学部702840%
奥羽大学歯学部966466.7%
明海大学歯学部1202520.8%
日本大学松戸歯学部?1283124.2%
日本歯科大学新潟963839.6%
神奈川歯科大学1204436.7%
鶴見大学歯学部1284436.7%
松本歯科大学804556.3%
朝日大学歯学部1282217.2%
福岡歯科大学961515.6

2012年

  • 2012年度の各大学歯学部の入学状況によると、全国に17校ある私立大学歯学部のうち、4割にあたる7校が2年連続で入学者数が募集人員を下回る定員割れしていることが明らかになった。そのうち6校は3年連続で定員割れしており、定員の2割に満たない大学もあった。
    • 立大学で定員割れしているのは、北海道医療大学(入学定員に対する入学者数:67.5%)、岩手医科大学(61.4%)、奥羽大学(16.7%)、神奈川歯科大学(81.0%)、鶴見大学(65.2%)、愛知学院大学(91.4%)、福岡歯科大学(99.0%)の7校。
    • 定員割れしている大学はすべて国家試験合格率が7割に満たず、厳しい状況が伺える。
      出典:リセマム

定員割れの原因

  • 2004年には1万1574人の志願者が、2011年には4927人と58%も減少している。
  • 原因1:歯科医ワーキングプア説が流布された。(これが真実かどうかはさておき)
  • 原因2:新規参入歯科医師の抑制を目的とした歯科医師国家試験の合格率の低下
  • 原因3:平成不況、経済状況の悪化により学費負担が大きくのしかかった。
  • 原因4:2008年以降に医学部定員が1300人増えた。もっとも、これは本格的な歯学部定員割れが起こった後の出来事ではある。

問題点

  • 2000年頃から現在において、競争なく歯学部に入学できたものが一定数存在する。そうした者が日本の歯科医療を担っていくことは適切なのであろうか。
  • 厚生労働省は歯科医師国家試験の合格率を60%台に落として人材を選抜しているが、このやり方も落とされる方に多大な負担がかかってしまい、長くは続けられないだろう。

参考文献

コメント

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  • 残念 -- 2020-01-14 (火) 17:27:19
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