
高山歯科医学院校舎
設立年 †
| 設立 | 大学 | 創立時 |
明 治 | 1890 | 東歯 | 高山歯科医学院 |
1907 | 日歯 | 共立歯科医学校 |
1910 | 廃校 | 東京女子歯科医学講習所 |
1911 | 大歯 | 大阪歯科医学校 |
大 正 | 1914 | 九歯 | 九州歯科医学校 |
1916 | 日大 | 東洋歯科医学校 |
1917 | 廃校 | 明華女子歯科医学講習所 |
20 | 1928 | 医歯 | 東京高等歯科医学校 |
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50 | 1952 | 阪大 | 府立医大歯科学教室 |
60 年 代 | 1961 | 愛学 | |
1964 | 神歯 | 東京女子歯科医学講習所 |
1965 | 新潟 | |
1965 | 広島 | |
1965 | 岩医 | |
1965 | 東北 | |
1967 | 九州 | |
1967 | 北大 | |
70 年 代 前 半 | 1970 | 明海 | 城西歯科大学 |
1970 | 鶴見 | |
1971 | 松戸 | |
1971 | 朝日 | 岐阜歯科大学 |
1972 | 日新 | |
1972 | 奥羽 | 東北歯科大学 |
1972 | 松歯 | |
1973 | 福歯 | |
70 年 代 後 半 | 1976 | 徳島 | |
1977 | 鹿大 | |
1977 | 昭和 | |
1978 | 北医 | 東日本学園大学 |
1979 | 長崎 | |
1979 | 岡山 | |
歯科大・歯学部増設の歴史 †
はじめに †
- 1928年までに、8校の歯科医学専門学校が設立された。
- その後、戦後の学制改革により2校が廃校となり、残る6校中5校が1946~47年に旧制大学へ昇格し、1校が1949年新制大学へと昇格した。
- 以後、我が国の歯科医学教育は、この6校(東歯、日歯、大歯、九歯、日大、医歯)において行われてきた。
- 1952年、阪大が設立され7校になると、1961~79年には、18年間で一気に22校が設立され、全国の歯科大・歯学部は29校となり、現在に至る。
歯科大・歯学部増設の背景 †
- 1960年当時、7校の入学定員数は合計で740名、全国の歯科医師数は31109人、人口10万人対歯科医師数は34.8人であった。
- その後、1960年代半ば頃から、生活環境や食生活の変化等によって、いわゆる「むし歯の洪水」と言われる状況が起こり、歯科医療需要の増大とともに歯科医師不足が社会問題化していた。これに対し国は、1967年までに国立歯学部を5校設立する。また、既存の歯学部の入学定員数増加も図られたが、十分な効果は得られなかった。
- 1970年、当時の厚生省は、人口10万人対歯科医師数36.5人であった歯科医師数を、1985年までに50名とする目標を掲げた。その結果、前述の通り、18年間に22校が設立されるという、歯科大・歯学部急増期を迎えることになる。
- この結果、7校で740名であった入学定員は、1980年には、29校で3360名にまで急増した。こうした歯科医師増加政策により、1984年全国の歯科医師数は63145人、10万人対歯科医師数も52.5人となり、当初の目的は達成された。
- 1970年の政策決定以降に設立された14校は国立4校私立10校で、その多くを私立が担っていた事が分かる。
その後の需給問題に関する主な政策について †
- 1982年、一転して歯科医師過剰が懸念されるため、削減に向けた閣議決定がなされる。
- 1986年、厚生省「将来の歯科医師需給に関する検討委員会」の最終意見に基づき、以後10年間で入学定員数の20%削減目標が示され、この目標は達成された。
- 1998年、厚生省は更なる10%の削減を求めたが、達成を見ていない。
- 2006年、「歯科医師の養成数の削減等に関する確認書(文科大臣、厚労大臣)」が取り交わされ、一層の定員削減と、歯科国試の合格基準の引き上げが示される。
- これらの結果、1985年には3380名であった入学定員は、2018年には2481名となり、削減目標への方向性は示されている。
まとめ †
- 歯科医師不足という、言わば国民的問題解決のために、早急な対策が必要であった事は、言を俟たない。しかしその急激な増設が、歯科医師過剰時代を招いたとすれば、今日の状況は皮肉な結果と言えるだろう。他方、国民にとっては、より良い治療を受けるための選択肢増加に繋がり、「8020運動」における達成者50%超え等は、30年来の啓発活動によりもたらされた結果と言え、立場の違いによって、評価の分かれる部分もあるが、双方における検証が求められる。
- 日本歯科医師会の試算では、「歯科医師数は上限82000名(10万人対歯科医師数71.4名)、新規参入歯科医師数は1500名程度を上限と考える。」としている。さらに、「今から新規参入を1500名に削減したところで、今後20年間徐々に歯科医師数は減少しては行くが、それまで過剰状況は続く。」と予測している。
- 一方で、18歳人口は1992年の205万人をピークに、2014年には118万人にまで減少し、今後さらに減少して行くと予測され、教育機関は「数」の問題に加え、「質」の問題にも直面する事になる。また、国試は2006年の確認書以降、選抜試験の様相を呈しており、対応すべき課題は多い。
- 今後も続くこの問題には、緻密なシュミレーションに基づく展望と、超高齢社会における需要の多様性、特に在宅や介護における歯科の必要性は、今後益々増えると予想され、現在でもその提供は十分とは言えない。これらの分野に需要を見出す等、広い視点に立った施策が望まれるところである。
- 出典日本歯科大学校友会
コメント †