概要 †
- 歯科医師過剰問題。確かに全体像を見れば歯科医師の数は多い状態にあるが、そこには地域ごとのばらつきが考慮されていない。
- 歯科医師が都心に集中することによって、地域に偏在が起こり、歯科医師不足が出ている地域が存在する。
- 近年の研究により、歯の健康は口腔だけではなく全身の健康状態に多大な影響を及ぼしていることが明らかにされつつある。
- また予防歯科は、膨らみ続ける医療費・介護費の抑制にもつながる。
「無歯科医人口の数」から見る地域偏在 †



- 無歯科医地区は減少傾向にあるものの、全国で約20万人が歯科医療を受けられない状況にある。
- 北海道・岡山・大分は無歯科医人口数が多い。
- しかし、無歯科医人口が多いところは歯科診療が受けにくいかというと、必ずしもそうとは限らない。その理由は「人口10万対歯科医師数」からわかる。
- 「医師不足」の場合も、医師の数を増やせば解決される、という単純な話ではないことは歯科医師のケースから明白である。
「人口10万対歯科医師数」から見る地域偏在 †


- 東京・大阪などの大都市と、歯学部がある都道府県(上図:濃い青)に多くの歯科医師が集中。
- 北陸地方では歯科医師不足の傾向が顕著。
- 無歯科医地域が多い北海道と大分での人口10万対歯科医師数をみると、全国平均よりも歯科医師数が多い。つまり各都道府県での偏りだけでなくその地域からさらに地域格差が出ていることが読み取れる。
「医師」と比較する †

- 医師の数は、西日本で平均よりも多く、東日本で少ないという特徴がある。
- 医師は都市部と地方間の格差が歯科医師ほど顕在化していない。
- 歯科医師の地方格差は、医師と比べて危機的な状況にあることを示している。
地域偏在の原因 †
- 地方と比べると都心部の所得は相対的に高くなり、所得に余力があるほど治療や予防にお金を掛けてくれるという、ある種患者さんの所得状況の影響を受けやすい歯科医業の特性がある。
- 自分の卒業した歯学部の周囲や、勤務した事のある場所の近くなどに開業しがち。
地域偏在による弊害 †

- 歯科医師の地域格差はそのまま歯科治療の地域格差につながっている可能性がある。
- このような状況が改善されないまま若手歯科医師の間口だけを絞る政策(歯科国試の合格者数抑制)が実行されれば、地方における歯科医療の状況は急速に悪化しかねない。
参考 †
論文 †
新聞記事 †
https://pbs.twimg.com/media/CdLIS41UAAA5fQV?format=jpg&name=large
コメント †