概要 †
- 歯科医師の給料の統計には、厚労省発表の「賃金構造基本統計調査」、「医療経済実態調査」、日本歯科医師会発行の「歯科医療白書」などがある。
- 今後歯科医師が減ることと歯科医療費の増加を考えると、給料は増えるかも。近年の歯科医師抑制政策で若い歯科医師が減り、高齢の団塊ジュニア世代(1971年頃生)が膨れ上がっているので、15年もすれば歯科医師は激減するだろう。
- 「ワーキングプア問題」や「年収300万円以下」がマスコミに取り上げられているが、これは誤解である。歯科医師は女性の割合が高く、フルタイム労働してる人は少ない。それで統計を取れば母集団によっては300万円以下になりうる。
- 実は歯科医師の給料は世間のイメージとは裏腹に十分に高い。勤務歯科医で1500万円は可能であり、開業すれば給与所得者換算で3000万円程度まで高めることができる。無知なマスコミのせいで不当にイメージが下げられた職種なのである。
- 歯科医師の終身雇用は確立されてない。そのため、数年働いて開業する。開業に数千万の資金が必要で、多くは借金である。
賃金構造基本統計調査 †
- ここには勤務医や開業医といった様々な立場の歯科医師が含まれている。
- この調査の平均月給は実態を反映していない。なぜなら、賃金構造基本統計調査のサンプル分布が、現実の分布と乖離しているからだ。
乖離の具体例 †
- 歯科医師は50~59歳の年齢層が一番多く、50歳以上の歯科医師が全体の半分以上を占めている。
一方で、賃金構造基本統計調査の歯科医師のサンプルでは、25~29歳の年齢層が一番多く、34歳以下の歯科医師が全体の半分以上を占めている。
- 歯科医師全年齢では病院勤務はわずか11%
それにも関わらず、賃金構造基本統計調査の歯科医師のサンプルは、病院勤務の割合が高い34歳以下が全体の半分以上を占めている。
- 歯科医師の全体の約9割が診療所に勤めていて、歯科診療所1軒あたり歯科医師は1.17人であり、歯科診療所に勤める歯科医師の7割弱がその診療所の代表者である。
一方で、賃金構造基本統計調査は従業員数が10名以上のクリニックが対象になっているので、歯科医師の勤務先として一番多い規模のクリニックが対象外になっている。
男性 †
- 年収の計算方法:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額(ボーナス)
- サンプル平均年齢:36.8歳
- 年齢中央値の階級:30~34歳
年齢 | 年収 | サン プル 人数 | 割合 |
全体 | ¥6,523,300 | 722人 | |
20~24歳 | ¥1,894,400 | 81人 | 11.2% |
25~29歳 | ¥3,008,300 | 199人 | 27.6% |
30~34歳 | ¥6,909,500 | 125人 | 17.3% |
35~39歳 | ¥6,567,600 | 63人 | 8.7% |
40~44歳 | ¥9,748,400 | 76人 | 10.5% |
45~49歳 | ¥10,908,900 | 70人 | 9.7% |
50~54歳 | ¥13,685,800 | 57人 | 7.9% |
55~59歳 | ¥8,570,900 | 19人 | 2.6% |
60~64歳 | ¥9,236,400 | 2人 | 0.3% |
65~69歳 | ¥5,336,400 | 20人 | 2.8% |
70歳~ | ¥10,800,000 | 10人 | 1.4% |
- 時給の計算方法:所定内給与額÷所定内実労働時間数
年齢 | 時給 | サン プル 人数 | 割合 |
全体 | ¥3,101.2 | 722人 | |
20~24歳 | ¥1,088.9 | 81人 | 11.2% |
25~29歳 | ¥1,589.5 | 199人 | 27.6% |
30~34歳 | ¥2,928.3 | 125人 | 17.3% |
35~39歳 | ¥2,724.0 | 63人 | 8.7% |
40~44歳 | ¥4,617.0 | 76人 | 10.5% |
45~49歳 | ¥4,684.7 | 70人 | 9.7% |
50~54歳 | ¥6,236.1 | 57人 | 7.9% |
55~59歳 | ¥3,976.2 | 19人 | 2.6% |
60~64歳 | ¥3,561.6 | 2人 | 0.3% |
65~69歳 | ¥2,925.7 | 20人 | 2.8% |
70歳~ | ¥5,421.7 | 10人 | 1.4% |
女性 †
- サンプル平均年齢:35.1歳
- 年齢中央値の階級:30~34歳
年齢 | 年収 | サン プル 人数 | 割合 |
全体 | ¥4,729,200 | 611人 | |
20~24歳 | ¥1,896,700 | 73人 | 11.9% |
25~29歳 | ¥2,512,800 | 173人 | 28.3% |
30~34歳 | ¥4,160,400 | 157人 | 25.7% |
35~39歳 | ¥9,234,000 | 18人 | 2.9% |
40~44歳 | ¥7,786,000 | 66人 | 10.8% |
45~49歳 | ¥8,890,600 | 61人 | 10.0% |
50~54歳 | ¥5,935,800 | 31人 | 5.1% |
55~59歳 | ¥12,325,100 | 11人 | 1.8% |
60~64歳 | − | − | 0% |
65~69歳 | ¥5,822,400 | 21人 | 3.4% |
70歳~ | − | − | 0% |
- 女性の場合、男性以上に年代によって年収が大きく増減する傾向にあるが、これには結婚、出産、育児などのライフステージの変化による職場や勤務形態の変化が関係していると考えらる。
年齢 | 時給 | サン プル 人数 | 割合 |
全体 | ¥2,405.2 | 611人 | |
20~24歳 | ¥1,014.7 | 73人 | 11.9% |
25~29歳 | ¥1,338.3 | 173人 | 28.3% |
30~34歳 | ¥2,017.8 | 157人 | 25.7% |
35~39歳 | ¥4,204.9 | 18人 | 2.9% |
40~44歳 | ¥3,806.5 | 66人 | 10.8% |
45~49歳 | ¥4,900.7 | 61人 | 10.0% |
50~54歳 | ¥2,868.7 | 31人 | 5.1% |
55~59歳 | ¥5,087.4 | 11人 | 1.8% |
60~64歳 | − | − | 0% |
65~69歳 | ¥2,888.1 | 21人 | 3.4% |
70歳~ | − | − | 0% |
医療経済実態調査 †
「歯科診療所」と「一般病院」の違い |
歯 科 診 療 所 | 一般病院の定義を満たさない医療施設。医師1名以外の人員規制はない。 |
一 般 病 院 | 患者20名以上の入院施設を備えた医療施設。医師のほか、看護師や薬剤師などの最低人員などが決められている。 |
開業医 †
- 歯科診療所
| 開業医 |
年収 | ¥6,323,901 |
損益差額 | ¥12,696,000 |
- 開業医は年収630万円だが、例によって経費で削り年収を低く見せている。
- 個人診療所の場合、収益44,758,000円、費用32,062,000円であり、実質的な収益は12,696,000円。
- 年収との約600万円の差は何かと言うと、設備投資という名目で使用される経費。医院の設備にあてられる金額だが、実際は自家用車や生活必需品を買う。もちろん、経営に必要なものと認められなければ経費としては通らない。
勤務医 †
- 歯科診療所
役職 | 年収 |
院長 | ¥14,297,669 |
歯科医師 | ¥5,642,306 |
- 歯科診療所で院長として働いた場合、将来的な独立開業の準備期間として、院長の手腕を学べる。
- 一般病院
開設者 | 職業 | 年収 |
国立 | 医師 | ¥14,319,511 |
歯科医師 | ¥13,901,326 |
公立 | 医師 | ¥15,139,401 |
歯科医師 | ¥13,284,659 |
公的 | 医師 | ¥14,330,453 |
歯科医師 | ¥14,102,633 |
医療 法人 | 医師 | ¥16,407,125 |
歯科医師 | ¥8,140,876 |
- 一般病院では、歯科医師は医師並である。
歯科医療白書 †
- 日本歯科医師会発行の「歯科医療白書(2013年版)」によると、開業歯科医の平均年収はおよそ1200万円である。
- また開業歯科医の約20%は年収300万円以下、それと同じ約20%が年収3000万円以上である。
WHITE CROSS調べ †
- 回答は225件。
- 2019/4/12〜5/11の約1ヶ月間で調査。
年収 | 割合 |
400万円以下 | 6.7% |
800万円以下 | ←と答えた人の 7割が勤務医 |
800万円以上 | 72.4% |
1000~1500万円 | 24.4% |
1500万円~ | 多く見受けられる |
- 参考:WHITE CROSS
自費診療系 †
- 年収1000~5000万円の求人がいくつもある。
- 歯科医師は自費診療のクリニックが多いのでこれだけの高給が可能なのであろうか。医師では考えられない。一昔前の美容系ぐらいか。
- 以下、卒後6年目での年収の給与明細である。自費診療で、年収1500万円程度である。
出典:ジョブメドレー
アルバイト時給 †
- 医師のアルバイトの場合、時給1万円が目安で、これを割ると「安い」、上回ると「高い」となる。
- 歯科医師の場合は時給3000円が目安で、日給3万円程度が平均。しかし、地方の歯科医師不足が顕著な地域では、時給5000円の求人もあり、このまま歯科医不足が促進されればそれがスタンダードになる可能性有り。
臨床研修医 †
- 国家資格を取得後、1年間の臨床研修がある。
- 給料はわずか月収12~15万円ほどで、20万円を超える病院・診療所はごくわずか。
- 臨床研修期間中はアルバイトを禁止している病院・診療所が大半のため、この期間の生活費をどうするのかは事前に考えておく必要がある。
- しかし、給与の割に激務になるという理由から、年々改善されてきている。
ボイス †
- 夫が歯科医。総合病院口腔外科、30代、年収1600万程。当直もなくほぼ完全週休2日でコスパよすぎ、と夫は言う。開業が不安なら口腔外科の道も選択肢に入れてみたらどうか。他の学部を出て、30代で年収1500万程もらえる職種は私は知らない。
- 参考:知恵袋
↑
と話すが「他の学部を出て30代で1500万円」は様々な職種で実現可能である。総合商社やgoogleのエンジニアなどは30代で1500万円以上は楽勝である。無知な人の特徴として自身の給料を高いと思い込むことが挙げられるが、この回答者の女性もその例に漏れず、自分のみている世界が一番と思い込みやすいタイプである。このページでは「歯科医師の給料は高い」という論調で記載しているが、過剰に高いと思うことは現実離れしている。「世間で言われているよりは高い」が正解である。
会社勤めの場合(参考) †
意見1 国公立歯の偏差値は旧帝早慶の工学部と同程度か少し下。旧帝早慶の工学部は、特に機械電気建築、情報などといった分野では大手会社からの求人数は学科定員を数倍~数十倍上回っているのが実態で、大手会社(少なくとも準大手もしくはBtoB最大手以上)への就職は固い。大手会社に正社員で就職すれば事実上終身雇用が保障されており40代後半でそれなりの割合が課長相当レベルには達する。なおMarch駅弁国立大学理工系でも状況は一緒でやはり大手への就職は固い。ネットでは文系とまぜこぜにした議論がなされており理解がごっちゃになっている人多し。歯学部は歯科医になり5000万円から1億円をかけて開業すれば年収では工学部から大企業と同レベルになるかもしれないが終身雇用が確立されていないので歳とると勤務医を続けられず安定性が低いこと、歯学部の勉強はひたすら暗記ゲームという工学部とは別の難しさがありこれに耐えきれず国家試験に受からなければノースキルで社会に出ていくことになることに注意が必要。
意見2
- 国公立歯と同偏差値帯は地方国立。私立でMARCHよりやや上。
- 主に就職先は地銀、地方公務員、大量採用の大手企業(都銀等)。この辺りに入れば大成功。30歳600万、40歳800万がいい線だが、都銀の場合30歳900万、40歳1400万。ただ、50歳過ぎで役職定年、転籍もあり、最終的に帳尻はあい、地方有力企業とさほど変わりないこともある(それでも都銀の方が当然上だが)。
- 私立歯と同偏差値帯は日東駒専以下。
- 大手企業はほぼ無理で、大手子会社、孫会社に就職。30歳400万、40歳500万辺り。MARCHでもこの程度の待遇の所にしか就職できないことはある。一方総合商社など2000万クラスの会社に就職は非常にまれ。
コメント †