定員割れの歯学部のバックアップの現在との差分(No.4)

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*背景 [#v37d60ab]
-1990年以降、医科や調剤の医療費は増大するものの、歯科の医療費は2兆5000万円で変わらず推移した。
-一方で歯科医師数は7.5万人から10万人へ増加し、一人あたりの取り分は減った。
-また、私立歯学部における国家試験合格率は低下し、留年率も高くなった。
-適切な教育がなされないとの見立てが広がり、私立歯学部の入学志願者が大きく減少した。
-[[歯学部の学費]]は私立医学部の学費と同等程度であるが、待遇面では医師に劣るため、敢えて私立歯学部に進学する者はいなくなった。
-'90年以降、医科や調剤医療費は増大するが歯科は2兆5000万で変化なし。歯科医は7.5万→10万人へ増加し、一人あたりの取り分が減る。
-私立の[[国試>歯科医師国家試験]]合格率は低下&留年率UP。適切な教育がされてないと見られ、志願者大幅減。
-[[学費>歯学部の学費]]は私立医学部と同程度だが、待遇面で医師に劣ることも要因。

*定員推移 [#v2a19e71]
|年|定員|
|1960年|740人|
|1981年|3360人|
|1996年|2714人|
|2014年|2460人|
|2019年|2470人|
-定員ピーク時1981年度～1985年度の3,380人を1998年度には2,714人まで、666人(19.7％)削減した。その後さらに、平成10年の厚生省の需給検討会で「10％程度の削減」が提言されたが、10年度～20年度の10年間でわずか57人(10年度の定員2,714人に対する割合、2.1％)の削減に留まっていた。
-ただ、2008年度～2010年度において、国公立大での入学定員の削減はなかったが、私立大では46人(20年度の私立大歯学部募集人員1,937人に対する割合2.4％)が削減されている。
&ref(http://www.saijuken.com/gazo/sikatein.png,zoom,300x200);

&ref(http://www.saijuken.com/gazo/sigansuii.png,zoom,300x200);

-定員推移
|年|1960|1981|1996|2014|2019|
|定員|740|3380|2714|2460|2470|
-'60年、入学790/定員690。
-'75年、入学3083/定員2220。当時、歯科医養成が急務で、毎年定員を超えた入学者を許可。
-'81~85年、定員3380とピーク。
-'98年、定員2714。666人(19.7％)削減。
-'98年、厚労省が「10％程度の削減」を提言。しかし'98~'08年の10年でわずか57人('98年の定員2714に対する割合、2.1％)しか削減できず。
-'08~'10年、私立で46人('08年の私立歯募集1,937に対する割合2.4％)削減。

*近年の充足率 [#rb2c8976]
-2010年頃は7大学程度が定員割れを起こしていたが、2020年現在、定員割れの大学は2-3個ぐらいに減少している。
-歯学部全体の「入学定員充足率」をみると､2008年度96.9％　→　2009年度92.4％　→　2010年度84.7％　→　2011年度87.8％と、上昇に転じた。
-定員割れ問題は、2008年頃をピークに改善しつつある。その背景に、歯学部の志願者減に歯止めがかかり、上昇に転じたことが挙げられる。定員に関してはほとんど変わっていない。
-'10年頃は10校程度定員割れ。
-歯学部全体の充足率は､'08年96.9%→'09年92.4%→'10年84.7%→'11年87.8%
-定員割れ問題は、'10年頃をピークに改善。背景に、学費値下げがある。定員はほぼ変化なし。
&ref(http://www.saijuken.com/gazo/sikasigansya.png,zoom,300x200);
-以下、定員割れしやすい歯学部の充足率を示す。
-以下、定員割れしやすい歯学部。6~7年前と比べ定員割れはしにくくなった。定員は編入学を含まない。
||年|定員|入学|充足率|
|国&br;公&br;私&br;立|20|2450|2342|95.6%|
|~|19|2447|2350|96.0%|
|~|18|2458|2310|94.0%|
|~|17|2459|2325|94.6%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[奥&br;羽&br;大&br;学>奥羽大学歯学部]]|20|96|45|46.9%|
|~|19|~|44|45.8%|
|~|18|~|51|53.1%|
|~|17|~|49|51.0%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[鶴&br;見&br;大&br;学>鶴見大学歯学部]]|20|115|69|60.0%|
|~|19|~|84|73.0%|
|~|18|~|67|58.3%|
|~|17|~|67|58.3%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[北&br;海&br;医&br;療>北海道医療大学]]|20|80|78|97.5%|
|~|19|~|83|103.8%|
|~|18|~|57|71.3%|
|~|17|~|57|71.3%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[岩&br;手&br;医&br;科>岩手医科大学歯学部]]|20|57|59|103.5%|
|~|19|~|50|87.7%|
|~|18|~|46|80.7%|
|~|17|~|42|73.7%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[日&br;歯&br;新&br;潟>日本歯科大学]]|20|70|75|107.1%|
|~|19|~|65|92.9%|
|~|18|80|58|72.5%|
|~|17|~|72|90.0%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[松&br;本&br;歯&br;科>松本歯科大学]]|20|96|97|101.0%|
|~|19|~|85|88.5%|
|~|18|~|89|92.7%|
|~|17|~|96|100.0%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[福&br;岡&br;歯&br;科>福岡歯科大学]]|20|96|88|91.7%|
|~|19|93|85|91.4%|
|~|18|~|97|103.2%|
|~|17|~|87|91.6%|
||年|定員|入学|充足率|
|[[神&br;奈&br;歯&br;科>神奈川歯科大学]]|20|110|108|98.2%|
|~|19|~|118|107.3%|
|~|18|~|116|105.5%|
|~|17|~|117|106.4%|

**[[北海道医療大学]] [#w994f2fa]
|年|志願|受験|合格|入学|充足率|
|2019|436|416|354|83|101%|
|2018|365|342|305|57|71%|
|2017|353|338|284|57|71%|
-出典
+[[文科省>http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/10/08/1325992_005.pdf]]
+[[文科省令和2年>https://www.mext.go.jp/content/20200904-mxt_igaku-100001063-2.pdf]]

**[[岩手医科大学歯学部]] [#u63c29a6]
|年|定員|志願|受験|合格|入学|充足率|
|2019|57|155|124|109|50|87%|
|2018|57|126|114|98|46|81%|
*定員割れ最盛期 [#mbec54a5]
-2010年（定員割れピーク）
|大学|定員|入学|充足率|
|[[奥羽大学>奥羽大学歯学部]]|96|32|33.3%|
|[[松本歯科>松本歯科大学]]|80|35|43.8%|
|[[北海医療>北海道医療大学]]|80|40|50.0%|
|[[鶴見大学>鶴見大学歯学部]]|115|68|59.4%|
|[[岩手医科>岩手医科大学歯学部]]|57|34|60.0%|
|[[日歯新潟>日本歯科大学]]|60|36|60.4%|
|[[神奈歯科>神奈川歯科大学]]|100|63|63.3%|
|[[日大松戸>日本大学歯学部]]|115|87|75.8%|
|[[明海大学>明海大学歯学部]]|120|95|79.2%|
|[[朝日大学>朝日大学歯学部]]|128|106|82.8%|
|[[福岡歯科>福岡歯科大学]]|96|81|84.4%|
|私立平均|||78.7%|

**[[奥羽大学歯学部]] [#w8d9cc7f]
|年|定員|志願|受験|合格|入学|充足率|
|2019|96|190|182|131|44|46%|
|2018|96|226|216|148|44|46%|
|2017|96|194|184|134|42|44%|
-2012年
|大学|定員|入学|充足率|
|[[奥羽大学>奥羽大学歯学部]]|96|16|16.7%|
|[[岩手医科>岩手医科大学歯学部]]|57|35|61.4%|
|[[鶴見大学>鶴見大学歯学部]]|115|75|65.2%|
|[[北海医療>北海道医療大学]]|80|54|67.5%|
|[[神奈歯科>神奈川歯科大学]]|100|81|81.0%|
|[[愛知学院>愛知学院大学歯学部]]|128|117|91.4%|
|[[福岡歯科>福岡歯科大学]]|96|95|99.0%|
|私立平均|||93.7%|
-出典：[[リセマム:https://resemom.jp/article/2012/08/17/9320.html]]

**[[鶴見大学歯学部]] [#r1bf969c]
|年|定員|志願|受験|合格|入学|充足率|
|2019|115|395|314|213|84|73%|
*定員割れの原因と問題点 [#fbafa612]
-志願者は'04年11574人→'11年4927人と58％減少。

**[[神奈川歯科大学]] [#f84033b3]
|年|定員|出願|受験|合格|入学|充足率|
|2019|120||||118|99%|
|2018|~||||116|98%|
**原因 [#ic69fee9]
-ワープア説流布（真偽不明）
-新規参入歯科医抑制を目的とした[[国試>歯科医師国家試験]]合格率低下。
-平成不況、経済状況悪化で学費負担増。
-'08年以降、医学部定員1300人増。これは本格的な歯学部定員割れが起こった後の出来事。

**[[松本歯科大学]] [#nafda731]
|年|定員|志願|受験|合格|入学|充足率|
|2019|96|170|160|148|85|89%|
|2018|~|224|211|173|89|93%|
|2017|~|292|281|177|96|100%|
**問題点 [#vb0fda22]
-'00年頃~現在で、競争なく歯学部入学が一定数存在。彼らがが日本の歯科医療を担うことは適切か。
-厚労省は[[国試>歯科医師国家試験]]合格率を60%台に落とし選抜。このやり方も落とされる方に多大な負担。

**[[福岡歯科大学]] [#m0534f1d]
|年|定員|出願|受験|合格|入学|充足率|
|2019|93|238|220|178|85|94%|
|2018|~||||97|101%|
|2017|~||||87|95%|

-6-7年前と比較すると定員割れはしにくくなってきている。2019年に至っては。北海道医療大学、神奈川歯科大学は定員を満たしており、福岡歯科大学や松本歯科大学も近年ほぼ100%である。
-大幅に定員を割れている大学は、奥羽大学と鶴見大学である。

*2012年 [#z2204144]
-2012年度の各大学歯学部の入学状況によると、全国に17校ある私立大学歯学部のうち、4割にあたる7校が2年連続で入学者数が募集人員を下回る定員割れしていることが明らかになった。そのうち6校は3年連続で定員割れしており、定員の2割に満たない大学もあった。
--立大学で定員割れしているのは、北海道医療大学（入学定員に対する入学者数：67.5％）、岩手医科大学（61.4％）、奥羽大学（16.7％）、神奈川歯科大学（81.0％）、鶴見大学（65.2％）、愛知学院大学（91.4％）、福岡歯科大学（99.0％）の7校。
--定員割れしている大学はすべて国家試験合格率が7割に満たず、厳しい状況が伺える。
出典：[[リセマム:https://resemom.jp/article/2012/08/17/9320.html]]
*問題点 [#vb0fda22]
-2000年頃から現在において、競争なく歯学部に入学できたものが一定数存在する。そうした者が日本の歯科医療を担っていくことは適切なのであろうか。
-厚生労働省は[[歯科医師国家試験]]の合格率を60%台に落として人材を選抜しているが、このやり方も落とされる方に多大な負担がかかってしまい、長くは続けられないだろう。
*参考文献 [#x53d2687]
-[[文部科学省資料:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/10/08/1325992_005.pdf]]
-[[文科省:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/10/08/1325992_005.pdf]]
-[[歯科医養成の現状と課題:http://www.icd-japan.gr.jp/pub/vol43/vol43_17.pdf]]

*コメント [#f6611732]
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