2021-07-23
21:00:22

 DeNAの元投手、寺田光輝さんが東海大学医学部学士編入試験に合格した(参考:https://full-count.jp/2021/07/22/post1112044/)。本氏の経歴としては、伊勢高等学校から三重大学教育学部、筑波大学体育学群である。そのため、元々の学力は低いというわけではなかったようだ。複数の記事の内容から、編入一本の受験だったことが推測され、受験校は東海大学のみ(不確定)であると思われる。
 で、本人なりの頑張りはあったとは思うが、こういったプロスポーツ選手の合格に関して「猛勉強して学力を医学部レベルまで引き上げた」と表現することはやめよう。彼はプロ野球選手であったということを評価されて合格したのだ。東海大学の編入試験では学力はほとんど問われない。ごく簡単な英語が100点と適性試験100点、残りは面接200点である。つまり、面接で何とでもなる試験だ。逆に、勉強をして対策したところで、筆記試験は足切りクリア程度の効果しかない。
 近年、獨協医科大学の朝比奈さん、順天堂大学の福岡堅樹など、プロスポーツ選手の医学部合格が目立つ。いずれも私立医学部+学力を問わない試験(福岡堅樹は不正入試であるが)という組み合わせだ。合格させた意図としては、大学側が広告塔として合格者たちを使いたいことが明らかに見て取れ、正直なところこの方針に嫌疑を抱かざるを得ない。この背景には「手っ取り早く大学を有名にしたい」という安易な考えが存在し、「有名人を合格させておけば何とかなる」的な発想に陥っている。そうではなくて、医学部、病院としての格を上げていきたいのならば、医学研究や臨床での成績向上や入学試験の適正化、医学教育の質の向上を目指すべきではないだろうか。福岡は不正であるが、朝比奈さんや寺田さんの入試は不正ではないので個人を非難するつもりはないが、やはり大学側の方針に疑問を抱かざるを得ない。広告塔で有名人を入学させることにより少なからず優秀層はその大学を受験することを避ける。「no学力の人でも合格できるんだ」となると行きたくないと思うことは自然である。
 こうした安易な人選を行うことで私立医学部全体のイメージがどんどん悪くなっていく。ただ、東海、獨協、順天堂であり、私立下位+不正王国であるため、まあ、了解可能な範疇ではあるが、これが上位大学までに至るといよいよ私立医学部も終わりである。
 ちなみに、東大医学部の内山咲良さんは陸上で全国レベルであるが(参考:https://number.bunshun.jp/articles/-/848958)、彼女は本物の天才である。時々、彼女のようなガチの天才文武両道と今回の3者のような学力なしの医学部合格が同列に語られる記事を見るが、全く本質を見抜けていない。彼女の学力を1000とすると、3者の学力は1以下である。上記3者は文武両道ではなく、単に「スポーツをやってきた人」である。

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