2020-10-16
12:09:34

 医学部の面接に過度な期待は禁物である。というのも、面接官は医師であり、人物評価のド素人だからである。面接に駆り出されるのは大学病院の中堅以上の医師である。臨床しかしていない中で空き時間で面接をこなしていく。面接官の経験は年1回の入試の時期だけ。入局者を面接で選定するということもない。面接をするほど入局希望者は多くないから。そんな人に他人を客観的に評価できるわけない。これが企業の面接という事ならば話は違う。人物評価を専門に行う人事部が入社試験や社内人事、人事評価研修などを経験しながら毎年選考方法を見直し、評価の程度も周りからフィードバックされながらより適正にできるように修正している。それでも3年以内に辞める若者は30%程度になってしまうのだ(厚生労働省の「学歴別就職後3年以内離職率の推移(大学卒)」を見ると、1992年卒生23.7%、最近では2004年卒生36.6%)。ただ、総合商社などの優良企業では5%程度と低めであるため、これは待遇の良さもあるとは思うが、面接で優秀な人材をしっかりと見極めていることも要因ではないだろうか。
 そんな難しい評価方法であるのに素人が何かできるわけはないのだ。だからこそ、年齢や性別といった活動期間に関わるファクターが重視されてしまう。これぐらいでしか正確な差はつけることはできないだろう。このファクターがあることで、素人医師の好き嫌いで評価される余地が少なくなるのでまだマシなのではないだろうか。例えば、「ガッツがない奴はダメだ」と話している外科医がいた。部活は本格的にやっていないとダメとのことであり、こんなことで面接点を下げられたんじゃたまったもんじゃない。
 面接のざるさ加減を示すいい事例が学士編入試験である。「多様な人材を」との目的で始められたが、結局は縮小傾向となっている。なぜかというと、「多様な人材」を確保できず、特に優秀でもない高齢者が過去問対策で合格続出してしまったからである。2000年代後半以降は一般入試で合格できない人の再チャレンジ試験という位置づけにまでなってしまった。3年で仕事を辞めて2年間編入専願で予備校通いしていた人がいたが、「一般では受からないから」と話し、見事合格した。私立文系である。
 面接で適切な評価を下せないから筆記試験重視にして、ただ、それも対策されて結局暗記だけの背比べになった。面接官だけどこかの企業から引っ張ってくることはできないのだろうか。編入試験当初の目論見では、他分野で活躍したした優秀な人が医学を学ぶことでより深みのある医師を育成するということだったと思う。それに刺激された周りの学生も新たな視点を得ることが出来、いい相乗効果になると。現在の試験形態ではそれは出来ておらず、面接方法の改善が望まれる。

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