概要

 「医師免許を取ればどこでも働くことができる」というイメージが一般的ではあるが、実はそう簡単ではない。確かに求人は全国にわたってたくさん出ているし、選び放題の印象を受ける。しかし、その求人のほとんどは病院の平医員か診療所のマンパワー確保の求人である。若い頃はいいけれど、年を取ってからその求人に頼ることはなかなかできない。で、若いこ頃にそうした平医員として病院に就職したとしよう。その病院にずっと勤めたいと思ったとしても、年齢相応のポストがなければいづらいことになる。50歳を過ぎて平医員として勤務するにも難しいだろうし給料も上がらないのはつらい。しかし、「求人がたくさんあり、常に募集している」という性質上、病院上層部のポストに比較して平医員の数が多いことがほとんどである。ということは、そのままその病院に居続けても部長や医長になれるかどうかはわからない。これが終身雇用の確立している企業であれば年次に伴い主任や課長といったポストが与えられるが、医師の場合は「どこにでも自由に就職できる」分だけ終身雇用は確立していないのだ。とすると、その病院で目覚ましい実績を残して出世していくしかポストを得る方法はないが、その場合はその病院で勤続している医師が有利になることは言うまでもない。とすると「どこにでも就職できる」メリットを利用していくつかの病院を転々としている医師は出世競争から外れてしまうのだ。また、そのポスト自体が〇〇大学の医局が管理している病院もある。その場合はいくら頑張っても外様医員はポストに就くことができない。
 こうした出世競争に自信のない医師は医局に所属し続けることで勤務医としての立ち位置を確保できる。給料は安いけれども、医局に所属しさえすれば40代後半ぐらいまでは年功序列でポストがついていく。しかし、上の上、准教授、教授クラスになるとポストが限られてくるため、50歳以降のそこまで出世できなかった医師は上述の一般病院の場合と同様になり居づらくなる。
 とするとどうなるかというと、クリニックに下るのである。比較的若ければクリニックの雇われ勤務医で、ある程度役職のあった医師ならば開業というのが一般的である。クリニックであれば上下関係なしで(ただしその代わり出世もない)働くことができるため、最後の拠り所である。
 医師免許というのはどこでも働くことができるが、その分だけ自分で居場所を確保していかなけらばいけなく、終身雇用は確立していない。だからこそ皆医局に所属するし、開業せざるを得ないのだ。

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