2020-12-02
16:36:01

概要

 平均年収と比較した場合、医師の給料の位置づけはどの程度のものなのであろうか。医師の給料で記した通り、勤務医の年収は1500万円〜2000万円程度であり、10年目以降ぐらいから2000万円近辺で落ち着く。この値は世間の相場と比較するとどうなのであろうか。一見高そうに見えるが、実はそうではないのである。
 国税庁の統計では、日本の給与所得者平均年収は2018年のものでは441万円となっている(参考:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm)。これを考慮すると、日本の平均よりも1500万円以上も高く、「医師の給料はなんて高いんだ」と思われるかもしれない。しかし、子の平均年収の値を単純比較することはできない。一般的な「平均年収」の概念は非常に幅広い人を対象としている。国税庁の調査では、「1年間を通して勤務した」という制約はついてはいるが、それ以外の縛りはほとんどない。その条件に当てはまる人は5000万人程度いるようだが、1000万人の非正規雇用者が含まれている。また、女性は2000万人ほど含まれている。つまり、何らかの事情で満足に働くことのできない人(妊娠など)も統計に含まれているのだ。その人たちを含めた統計値で比較して「医師は恵まれていますね」とするのは早計である。


  • 給与所得者数
    給与所得者
    正規非正規
    29,45722,4473,540
    20,80710,7708,132
    50,26433,21711,672
  • 1年を通じて勤務した給与所得者数は5,026万人であり、前年に比べ1.6%増加した。これを男女別にみると、男性2,946万人、女性2,081万人で、前年に比べ、男性は0.3%の増加、女性は3.5%の増加となった。
  • また、正規・非正規についてみると、正規3,322万人、非正規1,167万人で、前年に比べ、正規は1.0%の増加、非正規は3.0%の増加となった。
  • 平均年収
    平均給与平均平均
    全体正規非正規年齢勤続年数
    5,4505,5992,36046.313.7
    2,9313,8601,54146.510.1
    4,4075,0351,79046.412.2
  • 1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与は441万円であり、前年に比べて2.0%増加した。これを男女別にみると、男性545万円、女性293万円で、前年に比べて、男性は2.5%の増加、女性は2.1%の増加となった。
  • また、正規・非正規についてみると、正規504万円、非正規179万円で、前年に比べ、正規は2.0%の増加、非正規は2.2%の増加となった。

 医師との給与比較をする上では、統計の対象を絞っていく必要がある。まず、比較的フルで働くことのできている集団としては、男性で正規雇用者のカテゴリーが該当する。この枠組みでの統計結果は560万円(男性正規2200万人ほど)であり、100万円以上跳ね上がる。ただ、正規労働者と言っても満足に働くことのできない人も含まれているためもう少し対象を限定したい。例えば、公務員との比較は割と日本の平均値を反映しているのではないかと思われる。人事院勧告制度の下で民間企業に準拠した給料を決めている。50人以上の企業を対象としているようだ。ただ、「大企業ばかりを参考にしている」などの批判があるようだが、むしろ零細企業などの特例は省いてもらったほうがいい。(参考:https://ironna.jp/article/5070
 公務員との比較であるが、これは卑怯なことに多くの公共団体は月額給与しか公表していない。年収を公表すると諸手当で批判を食ってしまうと思われているのであろうか。なので、「OPEN WORK」の口コミとTACさんの数字を利用させていただく。



 公務員は、40歳650万円程度であろうか。公務員は大企業との比較で言えばやや低いので、大企業の正社員平均は40歳800万円程度であろうか。
 大企業推定の平均800万円という数値を医師の年収と比較してみると、まあ、確かにまだ医師の方(2000万円とすると)が高いような気がする。ただ、これを比較するにあたって、一般企業にあって医師にはない待遇を減算しなければいけない。

  • 終身雇用
  • 退職金
  • 企業年金
  • 借り上げ社宅
  • 社会保険料会社全額負担(逆に医師は全額払いをしなければいけない期間もある)

などである。下に行くほど兼ね備えている企業は少ない。この辺りの項目は、全部合わせると意外と大きな値になり、年数百万単位の違いになる。ちなみに社会保険料全額払いの会社になると、総支給30万円であれば約5万円ほど手取りが増える。(http://www.tama5cci.or.jp/hp/yanagida/?p=7485)結構大きな額である。身近な会社では医学書院が全額負担である。
 こうやってちまちま考えていくと、年収2000万円(手取り1300万円)と年収800万円(手取り600万円+各種手当、退職金、企業年金)の差って額面ほど大きくはないと思われる。もちろん差はあることはあるのだが。医師の年収2000万円は額面ほど裕福ではなく、サラリーマンの年収1500万円と同等かと思われる。最後に有名企業との比較であるが、この辺りと比較してしまうと医師の分は悪い。出典はOPEN WORKであるが、登録制なのでリンク貼り付けは割愛させていただく。

社名30歳40歳
キーエンス1800万円2500万円
三菱商事1500万円2300万円
東京三菱銀行950万円1500万円
医学書院900万円1200万円
フジテレビ1000万円1500万円

結論

 意外と一般企業の年収は高く、医師は福利厚生が皆無なので額面ほどの裕福さはない。給与面でのアドバンテージは少ないかほぼなしであろう。

コメント

コメントはありません。 コメント/平均年収と医師の給料?

お名前: