2019年11月、女子柔道の朝比奈選手が獨協医科大学のAO入試に合格した。朝比奈選手、本当におめでとうございます(参考:https://www.nikkansports.com/sports/news/201911080000766.html)。この記事を書いているのは2021年2月であるが、なぜここにきてこの内容かというと、ラグビー福岡選手順天堂大学医学部合格問題と密接にかかわるからだ。朝比奈選手の時は良い意味で少し騒がれたぐらいであったが、福岡選手の場合は悪い意味で騒がれている。その違いは何なのかということである。
 福岡選手はガチの学力勝負である「一般入試」であったが、朝比奈選手の場合は「学力を問わないAO入試」であった。朝比奈選手は柔道が評価されて入学した。彼女の功績は素晴らしいし、それを入学試験の一環として評価したのは大学の裁量である。「学力は問わないですよ」と銘打った試験に応募して合格した、それだけである。なんの文句もつけられない。さらに、他大学の編入試験やAO入試も受けていたとのことである。だからこそ悪い意味では騒がれなかった。
 ここで終わればよかったのであるが、その後にマスコミが変な取り上げ方をするのだ。「彼女はスポーツも出来て勉強もできる」という論調だ。いや、そうではなくて、彼女はスポーツの実績で入学したのだ。勉強は関係ない。出身高校は渋谷学園渋谷であるが、ここも柔道推薦がある(参考:https://www.inter-edu.com/forum/read.php?1265,3583033)。彼女自身も「私は勉強ができる」とは思っていないだろう。この騒ぎに順天堂大学医学部が食指を動かすのだ。「あれ?スポーツできる人を入学させれば世間から好意的な目で見てもらえて「文武両道」のキャラ付けもできるしいいのかも」と。真偽は知らないが、こんな大学の姿勢では世間が悪い意味で騒ぐことは納得できる。
 そもそも、医学部においてスポーツ推薦の必要性がどの程度あるのかと疑問に思う。医師という職業がレベルの高い勤勉性を要求されるため受験勉強の出来具合で入学者を選抜することは理にかなっているのだ。他学部のように営業などの体当たり系職業の場合はスポーツ推薦組はいいと思うが、医師とは相性は悪いのではないと思ってしまう。「スポーツもできる人は勉強もできるでしょ」という三段論法は回りくどく、「じゃあ初めから勉強のできる人を選抜しなよ」と返したくなる。ただ、「スポーツのできる人を集める」という方針自体は大学の決めたことなので、それで今後その大学が繁栄するか衰退するかは世間が判断することである。

コメント

最新の20件を表示しています。 コメントページを参照

  • AO入試なら、許せる気がする。 -- [6fef9ee3] 2021-02-24 (水) 13:13:50
  • 純粋な学力勝負にしたら、9時5時マイナー科のハイポ志向医者だらけになりそうだし、現になりつつあるからな。メジャー内科や外科を確保するには体力試験を入試に組み入れるか、はたまたこの例みたいにスポーツ選手を入学でもさせるしかない -- [b69e9c37] 2021-02-24 (水) 13:32:04
    • 体力系はハード診療科に行くのかな??? -- [999cd476] 2021-02-24 (水) 13:48:50
  • こっちはいいでしょ。巻き込まれて可哀想 -- [d2a237c6] 2021-02-24 (水) 13:34:58
    • ある意味、ラグビーより正直でいい。 -- [6fef9ee3] 2021-02-24 (水) 13:35:51
  • この人は他大受けて落ちたりもしてるし、合格もAOやから全く無問題やろ -- [014809ba] 2021-02-25 (木) 14:58:31
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