日本医科大学

概要

定員総定員280名(実在200名程度)
入試年2回(9月、1月)
入試科目TOEFLE ITP、面接
学費入学金なし、授業料25万円/年
設置年度昭和35年(1960年)
大学院研究科長森田明夫(脳神経外科)
HPgradschool.html
web leafletleaf

解説

 本学の大学院の特徴を一言で述べるとするならば、「しっかりと学位審査がなされている大学」、これに尽きると思われる。名前は出さないが、他大学では4年間での学位授与率が100%近くあるところもあり、学位授与権の乱用が行われている。本学の場合は、大学院在学者が2021年200名(各学年50名弱といったところか)で、甲過程(大学院過程)の学位授与件数は26名であり、相応の者だけに学位が付与されていると言える。また、日本医科大学は2001年(平成13年)に私立医科大学として初めて大学院重点化宣言をし、現在まで継続して大学院の重点的整備を行っている。それだけ入学する価値のある教育機関とも言える。
 また、医科大学大学院としては、授業料が最も安価な大学院であることも特筆すべき点である。入学金が一切かからないだけでなく、年間授業料は僅か25万円の為、4年で修了できた場合、授業料は100万円に抑えられるのである。これは、国立大学の大学院にある医学系研究科に入学した場合に、入学金282,000円、年間授業料535,800円かかり、総計2,425,200円となる事を考えると、日本医科大学大学院は国立大学大学院に比べ学費が半額未満であることになる。総じて金銭的に苦しくなりがちな後期研修医が大学院に入学する場合には、本大学院の学費の安さは、大きなメリットになるであろう。

入試

 TOEFLと面接であるが、99%合格する。というのも、総定員280名に対して、現在籍者数は200名であり、枠としては大きく余っているからだ。これも医師の学位への関心の薄れからであろう。ただ、下記参考文献では、2016年は139名であった在籍者数も徐々に増えてきている。
 面接は研究室の指導教授と雑談となる。日医の医局に在籍していればその主任教授が大方指導教官でもあるため、形式的な面接となるであろう。外部からくる場合はある程度は志望動機位を言えた方がいい。
 

専攻領域

 大きく分けて3分野の研究領域があり、機能形態解析医学、生体制御再生医学、健康社会予防医学に分かれる。その中で自身の専攻分野を決めるのだが、これはもう自身の診療科によりおのずと決まってしまう。例えば、血液内科医であれば、機能形態解析医学の血液内科学を専攻することになる。ただ、この専攻分野の違いは大学院生活にはほとんど関係がない。E-Learningの内容が少し違ってくるだけだ。本業は自身の研究を行い論文を書くことなので、分野はなんでもいい。

授業

 無いに等しいが大学院の実質化に伴い、年々E-Leraningを中心とした講義が増えている。1年次は30個程度の講義を受けてその内容のテストと小論文を提出する。講義は一度見ないと早送りできないので(最後まで見ることが出欠替わり)、とりあえずは暇なときに講義動画を流し続けておくことをお勧めする。
 2年次3年次は2年間で、テーマに基づいた講義(専攻により異なる)を受けてテストを提出する。テストは1回目に受けた点数が反映され、2回目以降は参考値となる。70単位程度あり、なかなかのボリュームだ。また、並行して大学院特別講義なるものが行われ、2年間で10回程度の出席が必要だ。偉い人が大学へきて講義をする。基本は対面授業であるが、派遣に出ていて出席できない人は動画配信でもOK。ただ、対面授業の場合は出席のみでOKだが、動画配信の場合はレポートを提出しなければいけない。

学位

 学位授与の条件は、「査読付きの英語論文雑誌に掲載されること」である。インパクトファクターの縛りはない。「しっかりとした審査が行われている」ことを裏付けるように、暗黙の了解で学内誌「Journal of Nippon Medical School」の掲載による学位授与は極力避けている。本雑誌はインパクトファクター1.000を超えるなど、学内誌としては日本トップの実績を持っているが、いかんせん学内誌で学位授与をOKにしてしまうと誰でも学位が取れてしまう。「うちの医局員が提出しましたから何卒よろしくお願いします」で論文が採択されてしまうので、学位の価値、Journal of NMSの価値を維持するためにも避けたいところである。学位関係(論文要旨)によると、2020年は、26名の学位授与者のうち4名がJournal of NMSである。やや残念ではあるが、4名は論文以外の努力もしっかりとしたのであろうと思いたい。

近年の学位授与件数と学内誌

2021
202026(4)12(3)
201932(7)20(3)
201827(2)13(1)
201721(0)19(0)
2016239

()は学位論文がJournal of NMS

 学内誌(Journal of NMS)での学位認定は少ないほど望ましい。というのも、学内誌では論文のレベル以前に内輪のコネクションがあるので投稿すればほぼ掲載が決まってしまう。そのため、一定レベルの研究や論文能力のない学生にも学位が与えられてしまう。特に、論文博士である乙において学内誌での学位授与があることはいただけない。本来、論文博士というものは卓越した研究能力が求められ、大学院課程を飛ばして学位が授与されるという特別な枠である。ここで学内誌の掲載での認定が認められてしまうと、たいして努力もせず、大学院の授業も受けずにレベルの低い論文を書いて学位が認定されるという某大学のような惨状になってしまう。学位の質を保つためにも学内誌での認定は極力避けるべきである。ただ、そうは言っても査読付きの論文審査→掲載まではスムーズにいって3か月かかる。これがrejectをいくつかの雑誌で食らうと平気で1年以上の時間が経過してしまう。ある程度のレベルの論文でもそのようなことはあるので、「3回reject食らったけど、論文の質的には十分に採択されるべきものだった」というような場合には学内誌OK、などというルール作りが必要である。

学位申請

 前近代的な申請方法であり、ここは改善すべきところである。紙媒体でのやり取りが中心であること、提出した書類であるのに何度も再提出を求められるなど、事務手続き、事務員のレベルアップが急務である。例えば、申請のためには、論文を60部、論文要旨を70部など、正直無駄な印刷をして渡さなければいけない。果たしてこれらの論文印刷物が何かに使用されたかというと特に何もないかと思われる。また、アクセプトの証明をするためのアクセプトメールの印刷を何度も求められる。

大学院生の間の給料

 社会人大学院生か大学院生かで異なる。社会人大学院生の場合は、就職先があって大学院生も並行しているということであるため、大学院生としての給料は出ない。大学院生本業であれば、診療行為につき半日5000円の手当が出る。多くは大学院生のみであるが、ここは医局との話し合いである。
 2018年に問題となり労基が入ったため、多少の改善は行われたが、それでもまだ表面的である。大学院生としての診療行為をするにあたっては交通費が出ないなどの渋りは抜け切れていない。

参考文献

コメント

最新の20件を表示しています。 コメントページを参照

  • 大学院生の週1回のアルバイトはあり?。 -- [7a1a1912] 2021-08-29 (日) 22:04:12
    • 医局の方針による。ほとんどの医局は大学院生=診療要員だから、週4-5日の勤務プラス当直が必須。その中で週1-2のバイト枠がある。大学院生業務だけなら週4はバイト可能 -- [7e238d15] 2021-08-31 (火) 08:43:13
  • 日本医大の大学院は、医局に所属しないと入れなくて、社会人入学者とかはないと前に電話したとき言われたのですがほんとうですかと -- [0142620b] 2021-08-31 (火) 15:01:10
    • それはないかと。他施設勤務医やコメディカルも学位を取ってるから。ただ、指導をしてもらわないといけないから、自身の専門科の医局と繋がりは持たなければいけない。指導の奉公として大学での診療を求められたらするしかないが、それは医局のスタンスによる。 -- [7e9e22bb] 2021-08-31 (火) 21:34:55
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