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2018年に話題上がった無給医問題でありますが、以降ほとんど進展がありません。2020年4月現在も多くの無給医がコロナウイルスへの感染に脅かされながら常勤での労働を強いられているという現実があります。「無給」なので、コロナウイルスに感染しても労災とは認定されません。現状は変えていかねばならず、受験生サイトであるにもかかわらずページをいただいて文章を作成させていただくこととしました。「私立医学部」限定の話ではありませんが、国立私立をまたぐページがないため、こちらに書かせていただくこととしました。
無給医とは、「大学病院にて診療に従事しているが、無給もしくは違法な低給しか支払われていない医師」のことです。主に問題になるのは週4日以上の無給勤務を強いられている大学院生医師です。2018年の報道を受けて文部科学省が調査をし、全国に2800人の無給医がいるとの結果が出ました。この人数でも大変な数ですが、これは大学側が勝手に算出した数値でありまして、ある私立大学は無給医の数を2人と申告していました。実際はほぼ全ての大学院生医師は無給で勤務しており、各大学100名は存在すると思われます。また、週1回、医局への奉仕のために外来をする医師を含めるとそれはとんでもない数になります。ただ、これは週1回なので、常勤無給医ほどやり玉には挙げられていません。週1無給医に関しては、大学病院に所属する医師はほぼ100%そうした勤務をすることになると思います。
なぜこのような事態になるかと言いますと、大学病院側が診療を研究の一環としてしかとらえてなくて、大学院生を労働者とみなしていないからです。ただ、大学病院は大学院生の診療によって診療報酬を得ていて利益を上げているわけですから、その理屈は通りません。慶応病院や東大病院には監査が入り、大学院生医師に時給2000円程度の報酬を支払うように指導があったとのことですが、それはほんのごく一部の大学であり、この報酬も適切かどうかは疑わしいものです。
無給である分、休みの日に当直をするなどして稼ぐということが一般的です。ただ、これも普段の労働プラスαであるため、体への負担がかなり大きくなってしまいます。さらに、今はコロナウイルスの関係で、休みのアルバイトが制限され、収入が激減している大学院生医師を周りに多く見かけます。反面現場は忙しく、理不尽さに磨きがかかっている状態です。
身分 | 日数 | 業務 | 人数 | |
1 | 大学院生 | 週4-6日 | 全て | 各大学100人? |
2 | 医局OB | 週1日 | 外来 | 各医局10人以上? 各大学数百人? |
私の事例をお話ししますと、週4日大学病院勤務ですが、「無給であること以外は全て有給医師と同じ扱い」です。当直もしなければいけませんし、病棟、外来業務も同じです。無給だからと言って業務量の軽減はありません。無給なのに休みも取れません。GWや年末年始など、余分に当直をした場合に「その代休を取っていいよ」と言われます。無給なのに代休の概念があるのです。
皆さんが医師になる頃には無給医がなくなっていることが望ましいのですが、なかなか難しいかもしれません。医師は1人前になれば年収2000万円を稼げますが、1人前になる研鑽期間として多くの方が無給医にならなければいけません。期間としては概ね2年〜6年程度かと思います。無給医問題がなくなるように、まずは無給医の上記のような現実を多くの人に知ってもらうことが大切かと思っています。
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