2021-02-23
11:02:01

 世間を賑わしている有名スポーツ選手の医学部合格であるが、事前談合かどうかはさておき、あのような実績が学力を問わないで医学部合格レベルに相当するかを考察したい。というのも、世間の声として「あれぐらいの実績の人だから別に合格でもいいじゃん」というものがあるからだ。考察点としては2点である。

スポーツでトップに行った人だから勉強でトップに行くのと変わらないでしょ。

 スポーツと勉強の難易度比較である。「医学部は勉強でトップに立たなければいけないので、分野は違えどスポーツでトップに立った人は同等の価値があるでしょ」という主張である。果たしてそうであろうか。現在日本では1学年100万人弱がいるようだ。医学部の定員は1万人だから、100人に1人のレベルまで能力を高めることができれば医学部に入ることができる。上位1%である。(非医学部上位校も上位枠に含めなければいけないが、底辺医は志望対象に含めない人も多くいるため、そこを相殺して暫定1万人とした。)スポーツはどうであろうか、例えばラグビーの競技人口は9万人のようだ。日本代表だと何人かは知らないが、上位30人ぐらいに入ればいいのであろうか。上位0.03%である。確かにこの数値だけを見てみると、マイナー競技でも日本代表クラスになると結構難しいのかと思う。ただ、機会の均等が勉強とスポーツでは全く違うだろという話になる。勉強は機会均等がなされていて、100万人がほぼ平等に競争をスタートできる。そこから進学校に行くなど振り分けはあるが、非進学校でも医学部は十分に狙える。私もそうだが、学校からその年に医学部ゼロ人という高校でも本人次第で医学部に合格できる。そう言った意味では競争は熾烈である。かたやラグビー(例)は違う。弱小校から日本代表は無理である。日本代表を競う母数は9万人の何分の1だという話になる。単純な難易度比較はできないが、このレベルだとよくわからない。ラグビーの方が少し難しいかもしれないしはるかに難しいかもしれないし。ただ、メジャー競技の野球やサッカー、テニスの全国レベルはラグビー日本代表よりも明らかに難しいのではないかと思う。一つ言えることは、マイナー競技の上位者を学力無視で入学させてしまうと、あと一体何人のメジャー競技者を入学させなければいけないんだということになる。
 そもそも、医師と勉強というのは非常に親和性が高く、入学試験の出来具合で人材を選抜するというのは理にかなっているのだ。それをすっ飛ばして他学部の真似事でAOや特別優遇措置でスポーツ選手を入学させるのは他の受験生や医学生に対しての冒とくではないだろうか。「スポーツがあれだけできるんだから勉強もできるはず」という主張はあると思うが、上述の通りスポーツの場合は機会の不平等であったり、マイナースポーツは競争率が低かったりする。それに、何もそんなややこしい三段論法で「勉強ができる」可能性のある奴を集めなくても、直接的に勉強ができる奴を筆記試験で拾い上げればいいじゃないと思う。他学部がスポーツ入試を実施していることは頷ける。それは、必ずしも勉強と親和性の高い職業に就くとは限らないからである。寧ろスポーツ入学系の人は営業であったり、コミュニケーションや体力重視のスポーツと親和性の高い職業に就くことが多い。そうした他学部の施策を真似ても医学部では広告塔以外のメリットがない。彼らがそうとは限らないが、勉強に耐性のない医師を生み出す可能性を上げているだけではないだろうか。

医師国家試験に受かればいいんじゃないか

 「医師国家試験は頭が悪くても合格してしまう」という現実がある。医学という学問は、学問の中では非常に簡単な部類に入り、国家試験の合格程度では頭の良さは全く関係ない。暗記をすればいいだけである。だから、闇入試で合格した人間も卒業できてしまう。卒業後は免許更新制度はないため、勉強習慣のないまま経過し、これで藪医者の誕生である。これが物理学や数学などの高度な学問分野であれば学生時代についていけなくてふるい落とされるが、医学ではそのようなことはない。
 「医師免許」というのは能力の最低保証であり、それを取ることが最終目標ではない。運転免許を持っていても運転が下手なドライバーは多くいる。医師免許も同じであり、私の周囲にも勉強習慣ができておらず、患者の質問に対して曖昧に答えたり論文の根拠を無視してフィーリングで答えるような藪医者がたくさんいる。それは、勉強習慣ができておらず、医師免許を取ったけれども普通の医療を提供する水準に達していないのだ。最近では2人のスポーツ選手が医学部に合格したが、英語や面接対策程度の勉強量で「私は勉強頑張った」感が出てしまうと今後が不安である。同世代の医学部受験生はその1000倍は勉強している。
 獨協も順天も自大学のことしか考えずに広告塔としてスポーツ選手を合格させたが、こうした色物路線は医学部受験生のモチベーションを下げ、人材の質まで下げてしまうのではないかと懸念している。「あんなインチキ選考なら受けたくないわ」と思う優秀層が出てくるからだ。ただ、優秀層には工学部に行ってもらったほうが日本のためではあるが、医学部のレベル低下には繋がってしまうと思う。

参考

順位競技人口
1ウォーキング、軽い体操4,682万人
2器具でのトレーニング1,667万人
3ボウリング1,433万人
4ジョギング・マラソン1,366万人
5水泳1,243万人
6登山・ハイキング1,134万人
7釣り981万人
8サイクリング893万人
9ゴルフ890万人
10野球814万人
11卓球766万人
12バドミントン756万人
13サッカー814万人
14その他718万人
15スキー・スノボード609万人
16テニス563万人
17バレーボール514万人
18バスケットボール486万人
19ソフトボール302万人
20ゲートボール83万人
21剣道69万人
22柔道65万人
?ラグビー9万人
?空手8万人

参考:総務省社会生活基礎調査

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  • 入試で選抜するのが国立、進級で選抜するのが私立。 -- 2021-03-09 (火) 15:31:49
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