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中国四国地方の医学部

土地と大学 †

• 中国・四国地方は関西と九州の間にある。
• 瀬戸内海を挟んで本州側は鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県の五県で人口約750万人、四国側は香川県、徳島県、愛媛県、高知県の四県で人口約400万人であり、合計約1150万人と、人口規模では中京(愛知、岐阜、三重)と同じくらいである。
• ただ、人口規模では同程度とは言いつつも、多数の都道府県が集まった結果であるため、個々の地域としてみた場合は、大都市圏からの影響を受ける側となる。
• まず、中国地方に関しては関西と九州の綱引きの場となり、山口県は九州、特に福岡県の影響が強く及び、東に行くにしたがって関西の影響が強くなり、広島市あたりではかなり拮抗する。それ以東になると関西の力が強く及ぶ。医学科受験生は基本的に地元志向だが、非医受験生の優秀層は、山口県を除くと関西志向（京大、阪大）が強い。
• 四国地方に関しては中国地方を介して都市圏の力が及んでいく。愛媛県は広島県、香川県は岡山県、徳島県は大阪府の影響が強い。これは交通の便の影響が大きい。そのため、愛媛県は広島大学、香川県は岡山大学の影響が強くなる。高知県はというと四国山地で他四国と隔てられており、太平洋を通じて東京の影響が強くなる。
  • ただ徳島以外の四国3県も関西圏の影響力はそれなりにあり、大学受験（非医）においては阪大、神大、関関同立等の関西方面を視野に入れる受験生は多い。医学科受験生は基本的に推薦で地元大を目指す人が圧倒的多数だが、優秀層になると、徳島県では神戸大、大阪市大など関西圏を視野に入れるのに対し、残りの四国3県は岡山大を視野に入れる受験生が多い。京大、阪大は四国4県どこの受験生にとっても憧れの存在である。
• 中四国最大の都市は言うまでもなく広島市であり、唯一の100万都市である。2番手は岡山市であり、高知県や徳島県と同程度の人口を擁する。なお、四国だけに限定すれば人口最大は松山市であるが、国の出先機関は高松市に集中しており、実質的に高松が四国��1である。

• 大学序列構造はやや疎であり、自宅通学可能圏に自分の実力にふさわしい大学がない場合も多いが、東北や北海道と比べれば大学の選択の幅は広く、大学進学環境としてはそれらの地域より恵まれている。
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立地 †

• 中四国の医学部の立地

所在地人口数 †

※ 高松市は43万人だが医学部は高松市から約12km離れた木田郡に立地する。

格による序列 †

• 頂点は岡山大学医学部である。旧帝国大学のない中四国で唯一の旧六医科大学であり古くより広範囲にわたってその影響力を示している。
• しかし、一方で中四国最大の都市広島市に位置する広島大学医学部も新制八医科大学として徳島、鳥取同様に伝統を持っている。
• 伝統的には岡山一強であるが、旧帝のない中で勢力を拡大してきた。
• 旧六に次ぐのは、同じ新制八医科大学の徳大、鳥大であり、岡大ほど広い勢力はないものの、自県や隣県の関連病院はほとんど押さえている。
• 逆に最も弱いのは香大であり、岡大が強すぎて完全な支配下となっている。ただ香大は再受験・多浪を広く受け入れる。
• 徳島大学医学部は新八であり、四国では最も力が強い。また2010年代からの年齢差別の影響もあり倍率が低迷している。大阪府からの交通は良いが、関西圏の医学部は難関校が多く、それを諦めて徳島に回るというにはやや物足りない。https://www.m3.com/lifestyle/680238によると、大阪府出身者は学年で10名以内といったところで、やはり四国出身者中心となる。
• 香川県の基幹病院は岡山の支配下となってるため、香川は中四国でも最も関連病院が弱い。

岡山大学と広島大学 †

　旧帝国大学のない中四国において双璧をなす大学であり、どちらが上かという議論によくなる。隣接する都道府県で10もの学部が比較可能な単位で設置されているという珍しいケースである。非医学部を含めた大学の格を考えてみると、岡山大学文系はナンバースクールの旧制第六高等学校（法文学部、教養部、理学部）、医学は言わずと知れた旧六医科大学の格を持つ。一方で、広島大学は広島高等師範学校を母体とした旧二文理大学であり、「東の筑波、西の広島」と称され、「教育界の西の総本山」であった。そのため、文部科学省の研究予算は重点的に配分されており、中四国一である。学部間の歴史のみの比較は以下の通りである。

• 法学部・経済学部
  岡山は法文学部から分離。法文の母体の旧制六高が母体。広島は新制移行時に新設された政経学部からの分離だが、母体は不明。文理科大に政経学科は無い模様。岡山が格上か。

• 文学部、理学部
  広島は文理科大が母体。岡山は旧制六高が母体。六高も名門だが、旧制大の広島の方が格上か。

• 教育学部
  広島は文理科大、高等、女高師、師範が母体。岡山は師範、青年師範が母体。西の教育界を牛耳る広島が圧倒的に強い。

• 医学部
  岡山は旧制医科大が母体。広島は新八医と同時期(1947)に昇格した県立医科大からの移管(1953)。岡山が圧倒的に強い。

• 工学部
  広島は旧制工専、市立工専が母体。岡山は新設(1960)。広島が上。

• 農学部
  岡山は旧制県立農専、広島(生物生産)は青年師範が母体。どちらも旧制中学卒業後3年の課程で、設置時期もさほど変わらず、同等程度か。

　上記を考慮すると、大学自体は旧帝国大学に次ぐ群にあり、同格とみてよいと思われる。どちらが上かというよりもお互いの補完性を議論するほうがいいかもしれない、例えば、広島大学はアジア圏での評価は高く、大学評価ランキングでも上に上がってくることが多い。一方で岡山大学は公務員輩出数が多いなどの成果を出している。
　大学としては同格であるため、医学部の比較においても議論が尽きないのであろう。本来であれば旧六の岡山が上と言い切りたいところではあるが、広島も部分的に岡大を上回っているところがあり、結論は出しづらい。やはりここでも補完性を議論していく方がいいだろう。

偏差値 †

駿台偏差値 †

全国模試2020
広島68 岡山67 山口64 香川63 高知63 鳥取62 愛媛62 島根61

河合塾 †

• ボーダー偏差値

  大学名	2019	2018	2017
  鳥取大学 前期	65.0	65.0	65.0
  島根大学 前期	65.0	65.0	65.0
  岡山大学 前期	65.0	65.0	67.5
  広島大学 前期	67.5	67.5	67.5
  山口大学 前期	65.0	65.0	65.0
  徳島大学 前期	62.5	62.5	65.0
  香川大学 前期	65.0	65.0	65.0
  愛媛大学 前期	65.0	65.0	67.5
  高知大学 前期	65.0	65.0	65.0

※2020年度は徳島大学は60.0

• 合格者に占める偏差値67.5以上の割合

  大学	割合
  岡山大学医学部	63%
  広島大学医学部	57%
  鳥取大学医学部	50%
  山口大学医学部	42%
  香川大学医学部	41%
  高知大学医学部	32%
  愛媛大学医学部	17%
  島根大学医学部	14%

  参考：（2018年河合塾資料）

• 2018年全統記述模試合格者平均

  大学	英語	数学	国語	理科	総合
  東京	77.9	76.3	72.3	76	77.4
  大阪	73.5	72.7	67.8	73.1	73.9
  京都	73.5	72.7	66	72.6	73.7
  医科歯科	75	71.1	66.5	71.2	73.2
  名古屋	71.8	70	66.9	70.6	71.5
  神戸	70.8	70.1	63.2	69.9	71.1
  京都府立	72.5	68	62.9	69.5	70.7
  千葉	71.6	68.2	63.8	68.8	70.5
  大阪市立	69.8	69.7	59.7	69.7	70.5
  奈良医	70.5	68.6	64.5	69.1	70.3
  九州	70.6	67.7	67.1	69.1	70
  横市	71.5	67.6	61.2	68.8	70
  北海道	71.2	67	63	68.3	69.7
  広島	69.7	67.5	65.6	68.9	69.5
  岡山	72	65.3	62.6	67.7	69.2

• 2018年国立医学部医学科合格者センター試験平均点

  大学	英語L	数��A	数��B	国語	理	理	社会	総合
  東京	192	98	98	176	99	97	89	853
  医科歯科	189	94	97	169	98	94	89	834
  大阪	183	96	97	165	99	95	92	830
  京都	183	97	95	164	97	93	91	823
  名古屋	183	94	95	166	96	93	89	821
  神戸	183	93	92	166	97	92	89	814
  岡山	180	93	95	162	96	91	89	809
  千葉	180	95	95	157	96	91	88	806
  北海道	182	92	93	158	97	92	88	805
  九州	182	94	93	162	95	89	88	805
  筑波	181	92	91	160	95	90	86	799
  横市	182	92	92	156	95	89	87	797
  広島	176	92	93	159	95	90	87	795

PMD医学部専門予備校 福岡校　HPより引用

研究費 †

2014年から2018年までの研究費合計(臨床内科学)
広島大学　37.98億
岡山大学　28.43億
山口大学　13.52億　
鳥取大学　7.54億　
愛媛大学　6.93億　
高知大学　5.77億　
島根大学　4.47億
香川大学　4.07億　

2014年から2018年までの研究費合計(臨床外科学)
広島大学　21.38億
岡山大学　15.37億
山口大学　12.15億　
鳥取大学　3.30億　
愛媛大学　2.77億　
高知大学　2.14億　
香川大学　2.14億　
島根大学　1.57億
出典https://research-er.jp/stats?f1=%E5%8C%BB%E6%AD%AF%E8%96%AC%E5%AD%A6&institution_id=1548
出典https://research-er.jp/stats?f1=

アクセス性 †

最寄りの新幹線停車駅もしくは在来線特急停車駅で尚且つ高速バス発着駅からの自動車最短距離
徳島大学医学部：蔵本駅から 0.3km、加茂名バス停から0.7km
鳥取大学医学部：米子駅から 1.2km
岡山大学医学部：岡山駅より 1.6km
島根大学医学部：出雲駅から 1.7km
広島大学医学部：広島駅より 2.2km
山口大学医学部：宇部駅から 6.6km
高知大学医学部：高知駅から 8.9km
香川大学医学部：高松駅から 12.2km
愛媛大学医学部：松山駅から 14.5km

常勤医100名クラス以上の関連病院 †

• ◎　大部分の科にスタッフを派遣している基幹関連病院
• 〇　◎ほどではないが多くの科(4〜6割程度が目安)にスタッフを派遣している重要関連病院(2つの大学で〇に該当もありうる)
  ※身分が非常勤であっても後期研修医はカウント
  ※身分が常勤であっても顧問などの名誉職や健診部、歯科、初期研修医は除く
  ※規模が大きい病院群であり年度によって±5〜6名程度は容易に変動しうると思われるため上記条件で90名超であれば一覧に記載している

岡山大学 †

• 岡山県
  ◎NHO岡山医療センター(岡山市・609床)
  ◎岡山市立市民病院(岡山市・400床)
  ◎岡山済生会総合病院(岡山市・473床)
  ◎岡山赤十字病院(岡山市・500床)
• 広島県
  ◎福山市民病院(福山市・506床)
  ◎NHO福山医療センター(福山市・350床)
• 山口県
  ◎NHO岩国医療センター(岩国市・530床)
• 兵庫県
  ◎姫路赤十字病院(姫路市・560床)
• 香川県
  ◎香川県立中央病院(高松市・533床)
• 高知県
  〇高知医療センター(高知市・620床)
• 愛媛県
  〇愛媛県立中央病院(松山市・827床)

広島大学 †

• 広島県
  ◎県立広島病院(広島市・712床)
  ◎広島市立安佐市民病院(広島市・527床)
  ◎広島赤十字・原爆病院(広島市・565床)
  〇広島市立広島市民病院(広島市・743床)
  ◎NHO呉医療センター(呉市・700床)
  ◎JA尾道総合病院(尾道市・393床)
  ◎JA広島総合病院(廿日市市・531床)
  ◎東広島医療センター(東広島市・401床)

山口大学 †

• 山口県
  ◎山口県立総合医療センター(防府市・504床)
  ◎JCHO徳山中央病院(周南市・519床)

鳥取大学 †

• 鳥取県
  ◎鳥取県立中央病院(鳥取市・518床)
• 島根県
  〇松江赤十字病院(松江市・599床)

島根大学 †

• 島根県
  〇松江赤十字病院(松江市・599床)
  〇島根県立中央病院(出雲市・634床)

徳島大学 †

• 徳島県
  ◎徳島県立中央病院(徳島市・460床)
  ◎徳島赤十字病院(小松島市・405床)

• 香川県
  〇高松赤十字病院(高松市・576床)
  〇NHO四国こどもとおとなの医療センター(善通寺市・689床)

• 愛媛県
  ◎愛媛県立中央病院(松山市・827床)
  〇松山赤十字病院(松山市・632床)

• 高知県
  ◎NHO高知医療センター(高知市・620床)
  ◎高知赤十字病院(高知市・482床)

• 岡山県
  ◎倉敷中央病院(倉敷市・1166床)

• 大阪府
  〇国立循環器病研究センター病院(吹田市・550床)
  〇北野病院(大阪市・699床)
  〇関西電力病院(大阪市・400床)
  〇NHO大阪医療センター(大阪市・681床)
  〇淀川キリスト教病院(大阪市・581床)
  〇住友病院(大阪市・499床)

• 兵庫県
  〇兵庫県立尼崎総合医療センター(尼崎市・730床)
  〇兵庫県立淡路医療センター(洲本市・441床)

愛媛大学 †

• 愛媛県
  〇愛媛県立中央病院(松山市・827床)
  〇松山赤十字病院(松山市・632床)

高知大学 †

• 高知県
  〇高知医療センター(高知市・620床)
  〇近森病院(高知市・512床)

香川大学 †

なし？

川崎医科大学 †

• 岡山県
  附属　総合医療センター(岡山市・647床)

岡山大学は岡山市を除くと大規模病院が少ないこともあり、代わりに岡山に近接している福山・姫路・高松の基幹病院を掌握しています。
広島大学は広島県はほぼ全ての病院を関連病院としています。
愛媛大学は新設ですが、医師200名以上の病院が1つあります。
高知県の近森病院は一族経営の病院であることから大学との関連はあまり強くないかもしれないです。もし間違っていたらこの病院は無視してください。高知医療センターは元々は岡山大学、徳島大学の勢力が強かったが、最近は高知大学も進出しています。
香川大学は中四国で最も関連病院に乏しい大学となり、ほとんどの科で常勤として就職できるのは県内の中小病院であり、規模の大きめの病院は他大学の穴を埋めるような形での派遣が主です。

他地域 †

首都圏の医学部
関西圏の医学部
九州の医学部

広島大学の躍進 †

コメント †

過去のコメント †

コメント/中国四国地方の医学部2020年

現在のコメント †