入試現代文へのアクセスと同じく、変な受験テクニックなしに本分を読み解いていこうとする一冊。入試現代文における文章内容の追い方・理解の仕方を、徹底して追究していく。アクセスにはなかった本分要約があるのが特徴。内容理解に重点を置く一方で、実戦的な設問の解き方はそれほど追求していないため、そちらは他書で補う必要がある。難易度的には入試現代文へのアクセスよりも上になる。アクセス→本書の流れがいいだろう。
内容としては、現代キーワードのまとめがあり、近年出題される現代文のキーワードとなるフレーズを解説している。同じ河合出版から出ている参考書でことばはちからダ!現代文キーワードというのがあるが、それの要約版といえそうな内容である。「逆説」「主観」「観念」といった、意味はなんとなくわかるけれど、それを使って解答を書くとなると「うー」という言葉をずらり並べている。
問題は評論中心であり、読み込み、線引き、要約といったことが求められている。まともにやると1題でもかなり時間がかかる。律義に全ての要約を手書きする必要はないが、2〜3題は入試本番を見据えて全ての要約をしたほうがいいだろう。
・現代文ができる人の思考が分かる。例えば、どのように一つの段落をまとめ、どのように一つの文章を要約し、どのように問題を解いたかなど。
・現代文は得意だが、「問題を解いても、なぜその選択肢が正解なんだか分からない問題がたまにある」というときにとてもおすすめ。
・「普段消去法で選ぶような安易な解き方しかしていないとこの選択肢で引っかかるだろう」という見事なお見通しがある。
・下手な解法テクニックでお茶を濁されるより断然いい。
・この本はどうやってより深く読み、論理的に「設問の答え=筆者の主張」にせまるかを着眼点としており、本当に読解力がつく。
・この本をやっただけで、センターは九割を下ったことがなく、後は過去問をひたすら解けば、東大、京大の模試も驚くほど偏差値が上がった。
・特に純粋な読解力を必要とし、読み取ったことを自分の言葉でまとめるというスタイルの東大現代文に特に適している。
・この本を使うことで「文章を理解するための思考プロセス」が身につけば、たとえどんな文章が出てきたとしても戦える。そこに語彙や背景知識が加わればもはや無敵といえよう。
・現代文ができる人でも長い解説が好きじゃない人には向かないと思う。
・一見簡単そうに見えるが実は「演習編」の問題はかなり骨のある問題。偏差値が低かったり、安定しないのに使うと、自滅の世界へ。
・「本文をいくつかの段落に分けろ」とあるのだが、この"いくつか"がクセモノである。せめて文章毎に段落の数を指定して欲しかった。
分類 | 偏差値 | ページ数 | 著者 | 出版社 | 出版日 | 価格 | Amazon |
読解重視 | 60〜70 | 312 (評論10+小説3) | 竹国友康, 前中昭 牧野剛 | 河合出版 | 2006/02 | 1,290円 | ○ |