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奈良県 †
- 概要
人口 | 1,317,096人 |
人口密度 | 357人/km2 |
県庁所在地 | 奈良市 |
高校 | 62校:公立41校、私立20校 |
学区 | なし:2005年廃止 |
- 人口
順位 | 都市 | 人口 |
1 | 奈良市 | 360,310人 |
2 | 橿原市 | 124,111人 |
3 | 生駒市 | 118,233人 |
4 | 大和郡山市 | 87,050人 |
5 | 香芝市 | 77,561人 |
6 | 天理市 | 67,398人 |
7 | 大和高田市 | 64,817人 |
高校の序列と事情 †
- 奈良県は人口132万人と人口の少なめの県であるが、全国的な進学校がいくつかある。
- 京都府の隣県であるために京都大学への志向が非常に強い。
- 現在ほど進学校の存在しなかった1960年代頃までは奈良女子附属がコンスタントに東大合格者を5名程度輩出し、県1位であった。それに奈良高等学校が続くという形であり、県全体で10名も合格者が出ない状態であった。
- 1980年代以降、東大寺学園高等学校、西大和学園高等学校、奈良学園高等学校と強力な私立高校が登場し、東大京大レベルの合格実績を積み上げた。2018東大合格者都道府県ランキング全国トップ10に入るほどであった。
- 「奈良県はなぜ全国レベルの進学実績を残すことができるのか」という質問に対しては、「東大寺と西大和だけだよ」という答えとなる。実際、この2校が台頭する前は東大合格者も年間一桁であった。
- ただ、無理に好進学実績の理由をつけるとすれば歴史的に学問を学ぶ風土があるということ。奈良時代以降、奈良を事実上統治したのは興福寺・東大寺である。江戸時代に奈良市に幕府直轄の奈良奉行が置かれたが、小規模で実権はなかった。東大寺は宗派を問わずに仏教を学べる大学のような存在で全国から学究的な僧が集った。興福寺は藤原氏の氏寺として出家した貴族の受け皿として発展した。そのような知的階級が長らく支配してきたため、学問を尊ぶ風土がある。また、奈良県は大阪のベッドタウンとして戦後に人口が増えた。奈良県にやってきてマイホームを購入した大阪人は、経済的にある程度成功して安定的な基盤を持つ者たちである。教育に力を注ぐ余裕がある家庭が多いと言える。
- 近年の序列としては、東大寺学園高等学校を筆頭に、西大和学園高等学校、奈良高等学校、奈良学園高等学校と続く。
- 卒業生1,000人あたりの東大京大合格者数を見ると、奈良県はトップであり約22人となる。
- 2014年から2018年までの5年間における西大和学園の東大京大合格者数は平均89.8人。そして、東大寺学園は平均92.0人。これがどういう数字かを示すため、千葉と埼玉を例に挙げてみる。直近5年間における東大京大合格者数は千葉県が平均175.8人、埼玉が132.2人です。なんと、千葉県全体、埼玉県全体の数字を西大和学園と東大寺学園の2校だけで超えるのだ。
- 2017年に文科省がおこなった調査によると、中学生の通塾率も全国トップであり、教育熱心なのかもしれない。
- また、都会のように遊ぶ場所もなく勉強に集中させやすい。
公立高校 †
- 学区なしであり、県土の広くない県であるため、トップ校には優秀な生徒が全県から集まってくる。
- 奈良高等学校、畝傍高等学校、奈良県立郡山高等学校を御三家と呼ぶ人もいる。
- 昔は、県北は奈良高、県南は畝傍の住み分けがなされていた。徐々に奈良>>>畝傍になり、現在では県南の優秀層も奈良高へ行く。
- 奈良高等学校は東大寺や西大和の併願先である。基本的には蹴られる側であるが、ダブル合格の末に奈良へ進学した猛者もいる。
実績比較 †
- 奈良県の進学校の進学傾向分類
- 奈良県の高校は62校程度しかないが、そのうち10校が旧帝一工神に二桁合格者を出している。他県と比較しても非常に優秀である。
2021年 †
highschool | 国公医 | 旧帝一工神 | 東大 | 京大 | 一橋 | 東工 | 北大 | 東北 | 名大 | 阪大 | 九大 | 神戸 |
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西大和 | 67 | 225 | 76 | 63 | 6 | 1 | 10 | 3 | 4 | 25 | 7 | 30 |
東大寺 | 61 | 141 | 29 | 70 | 4 | | 11 | 1 | 1 | 13 | 3 | 9 |
奈良 | 8 | 115 | 2 | 38 | | 2 | 6 | | 3 | 45 | 1 | 18 |
畝傍 | 4 | 63 | | 6 | | | 2 | | 2 | 25 | 1 | 27 |
帝塚山 | 14 | 60 | 1 | 17 | 1 | | 1 | 3 | 1 | 20 | 2 | 14 |
奈良学園 | 8 | 36 | 2 | 3 | | | 5 | 1 | | 11 | 3 | 11 |
郡山 | 1 | 30 | | 2 | | 1 | 1 | | 1 | 11 | 1 | 13 |
奈良女中教 | 3 | 27 | 1 | 8 | | | 2 | | 1 | 8 | | 7 |
奈良登美ヶ丘 | 4 | 21 | 1 | 6 | | 1 | 1 | | 1 | 5 | 1 | 5 |
智辯カレッジ | 9 | 12 | 1 | 1 | | | | | | 6 | 1 | 3 |
東大合格者数 †
年 | 県全体 | 東大寺西大和以外 | 公立のみ |
2021 | 322人 | 084人(26.1%) | 50人(15.5%) |
2020 | 316人 | 115人(36.4%) | 69人(21.8%) |
2019 | 257人 | 086人(33.5%) | 38人(14.8%) |
2018 | 262人 | 100人(38.2%) | 52人(19.8%) |
2017 | 271人 | 103人(38.0%) | 52人(18.9%) |
2016 | 275人 | 091人(33.1%) | 36人(13.1%) |
2015 | 297人 | 086人(29.0%) | 44人(14.8%) |
2014 | 274人 | 089人(32.5%) | 41人(15.0%) |
2013 | 298人 | 093人(31.2%) | 51人(17.1%) |
2012 | 282人 | 088人(31.2%) | 42人(14.9%) |
2011 | 314人 | 096人(30.6%) | 36人(11.5%) |
2010 | 332人 | 119人(35.8%) | 64人(19.3%) |
2009 | 322人 | 120人(37.3%) | 61人(18.9%) |
2008 | 358人 | 123人(34.4%) | 70人(19.6%) |
2007 | 319人 | 120人(37.6%) | 65人(20.4%) |
2006 | 368人 | 133人(36.1%) | 75人(20.4%) |
2005 | 336人 | 108人(32.1%) | 57人(17.0%) |
2004 | 326人 | 101人(31.0%) | 47人(14.4%) |
2003 | 313人 | 096人(30.7%) | 43人(13.7%) |
2002 | 298人 | 115人(38.6%) | 54人(18.1%) |
2001 | 293人 | 096人(32.8%) | 41人(13.9%) |
2000 | 293人 | 113人(38.6%) | 40人(13.6%) |
計 | 6726人 | 2275人(33.8%) | 1128人(16.8%) |
- 奈良県の東大京大合格者数は約2/3の66%を東大寺と西大和が稼いでいる。
- その他の全私立と全公立はほぼ同じ数。
- 私立は帝塚山、奈良学園、奈良学園登美ヶ丘が大半で公立は7割奈良、2割畝傍 1割その他。
東大京大累計合格者数 †
- 1950年以降東大
高校 | 累計 |
東大寺 | 1403 |
西大和 | 685 |
奈良学 | 145 |
奈良女 | 129 |
智辯ー | 123 |
奈良ー | 122 |
帝塚山 | 48 |
- 1950年以降京大
高校 | 累計 |
東大寺 | 3192 |
奈良ー | 1810 |
西大和 | 1720 |
奈良女 | 721 |
畝傍ー | 680 |
奈良学 | 659 |
帝塚山 | 360 |
東大進学率 †
- 県民当たりの京大合格者数は奈良県が1位で東大でも2位である(東大は東京都が1位)。東大・京大合わせれば奈良県が全国トップとなる。これは大阪や京都が通学圏となっている西大和学園、東大寺学園が奈良県にあるからだ。
- 2014年から2018年まで5年間、高校3年生1000あたり、
京大
奈良県 17.31人
京都府 12.44人
兵庫県 6.58人
東大
東京都 10.95人
奈良県 4.58人
鹿児島 3.65人
- なぜ奈良県はここまで東大京大進学率が高いのか。上でも少し触れたがまとめてみる。
- 目標が身近にある
東大はさすがに立地的に遠いが、京大はそこまで離れていないため、身近なところに京大がある。「東大や京大なんて別の世界の話」となりがちな関東や関西以外の人と比べると、奈良県民にとって京大はすぐ身近にある現実的な存在であり、小さいころから京大を目標にしやすい。そして、京大をひとまず目指していくうちに「やっぱり東大の方がええな」、「思ったより自分は素質あるし東大狙うか」などとなりやすい。同じ理由で京都大阪兵庫も京大進学率が高いといえる。
- ベッドタウンであり比較的裕福な家庭が多い
奈良県は大阪京都のベッドタウンであり(主に北西部の北の方)、他地域に比べると比較的裕福な家庭の割合は高い。奈良県は裕福な家庭の象徴ともいえるピアノの所有率も全国一ですし、その他の耐久消費財の普及率も高く、貯蓄も全国一となっている。裕福であればそれだけ教育に力を入れられるし、文化的資本に恵まれればそれだけ知的好奇心も育みやすい。「自分も大人になってこの水準以上の生活をしたいし、まず最初に良い大学には行かないと」と考えがち。そういうわけで勉強に力を入れる子どもが増え、結果として東大京大まで行く人も増える。
- 専業主婦が多い
奈良県は専業主婦世帯の割合も全国一。子供の面倒をじっくり見て、じっくり家庭教育ができているからこそ、東大京大まで行ける子も増える。東大や京大に行くために重要な中学受験は、親(特に母親)の影響力が極めて強いと言われているし、そうでなくても母親による手厚い教育の影響力は大きい。ネットでは散々叩かれていますが、3兄弟全員を東大理三に合格させたあの母親も奈良県在住である。
- 伝統的に教育熱が熱い・東大や京大を目指しやすい空気がある
どうしても学生は周りの雰囲気や風潮に流されやすいが、奈良県は塾の数もきわめて多く、都会に負けず教育熱が熱い。東大寺、私が高校受験で落ちた西大和といった全国屈指進学校もあるし、それ以外にもレベルの高い進学校が数多くある。「私立がすごいのに何で公立の奈良高校までこんなに京大合格者が多いのか」と突っ込みたくなるレベル。多くの人が真剣に勉強して、その中でも成績の良い人は賞賛されるわけだから、自然と勉強に力を入れやすい環境がある。先輩や塾講師も京大出身者が多いので、先輩に追いつき自分も先輩と同じところに行こうと熱心に勉強する生徒が多い。
- 地元に残ろうにも大学がない
奈良県には奈良女子大学ぐらいしかいい感じの国立大学がなく、男子生徒は否応なしに故郷を離れないといけない。他の都道府県のように「とりあえず地元の国立大学」という選択肢がないため、「地元以外の国立大学に行かないといけないのだから、どうせなら良いところ行くか」となりやすい。
- 格差があるし、闇が深い
奈良県は校内暴力発生率が全国トップクラスで、荒れている学校は非常に多い。裕福な家庭が多い一方で問題のある家庭も目立つとこがあるし、京都大阪兵庫と同様家庭間での格差が大きい部類の地域と言える。特に北西部の北の方以外は裕福な家庭の割合も下がりるし、闇が深くなる。危機感の強い親は「暴力やいじめが横行している公立中学でなく、質の高い教育をする国立私立に何としても我が子を入れないと」となるし、身近に底辺の世界を知った子は「こんな世界には二度と戻りたくない」と必死に勉強する。
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