![[フリーランス医師が3500万円稼ぐらしい]](image/sogo.jpg "[フリーランス医師が3500万円稼ぐらしい]")
2020-12-22
12:15:24
幻冬舎の記事で意気揚々と語っておられた。
長々と語っているが結局これだけ。フリーランスで3500万円という額がどの程度なのか、フリーは優秀なのかを話していく必要がある。
実は、麻酔科であればそれほど非現実的な額ではない。「麻酔科であれば」と注釈をつけたのは、フリーランスという生き方がそもそも麻酔科がメインとなるからだ。フリーランスというのはその場限りの仕事になることが多く、内科や外科などの主治医を決めて継続的にフォローしていかなければいけない診療科には向かない生き方である。いきなり主治医以外の医師が来て治療方針を替えたものの次の外来は別の医師医ですよというのは無責任である。麻酔科であれば手術の時の麻酔だけなので、それっきりである。なので、一回何十万円というバイトが成立するのだ。他には放射線科や病理診断科もフリーランスとは相性が良く、1枚いくらという給料の出し方ができる。
で、麻酔科の相場はいくらぐらいなのかというと、1手術5〜8万円とかで、1日2手術で15万円とか。さらに、整形外科などで患者を仰向けからうつぶせ位への体位変換が必要な手術だと10万円とか。1日20万円とか。これ、1日15万円と安く見積もっても、年間200日勤務、165日休日として3000万円である。165日は休み多すぎだし、1日20万円ぐらいの時もあるだろうから普通に働けば3500万円程度にはなる。
ただ、仕事が年間200日あるかどうかが問題である。麻酔科は売り手市場だからそれほど苦もなく求人を見つけることが出来るが、安定確保するまではある程度時間を要する。一通りの麻酔経験があって、体位変換が出来てという人材、さらに普通のコミュニケーション能力を持った人間であればどこの病院も欲しがる。この筆者は「有能は厚遇、低能は冷遇、無能は淘汰」と意気揚々と語っているが、麻酔だから普通にやってくれれば何の問題もない。
サラリーマンを経験されている方は、「フリーランス医師は熾烈な競争なんだな」と思われるかもしれないが、一般的な社会人の方の競争と、売り手市場の麻酔科医の競争とでは熾烈さが全く違う。サラリーマンの方の競争の方が100倍きついはずだ。これこそ無能は淘汰される。上述のように、普通に麻酔ができて「次もお願いしようかな」と思われる人格であれば何ら問題なく3500万円を稼ぐことはできる。このおばちゃんの例でも、そのバイト枠を何人の人と競い合って勝ち取ったのかという視点でみると、0人か1人かというレベルである。それで「3500万円稼いでます！」って言われても、サラリーマンの方からすると「甘い世界だな」で終わるだけである。
結論から言うと、病院で出世できなかった医師や集団行動が苦手な医師がフリーランスになる。このパターンが圧倒的に多い。「優秀だからフリーに」は少ない。というか、そんな動機でフリーになる人はいるのだろうか。優秀であれば病院から相応のポストが与えられ、講演会に引っ張りだこである。執筆の依頼も来るかもしれない。総合病院の麻酔科であれば、優秀な人材は集中治療室の統括者として活躍するが、このおばちゃんは結局手術麻酔だけである。確かに、常勤になると病院からもらう給料は週4日2000万円ぐらいかもしれないが（麻酔科は2500万円ぐらいはあるのか？？）、講演料やその地位を捨てて3500万円をとるのだろうか？金銭面での不満があれば1日バイトをすることで麻酔科であれば年間700万円ぐらいプラスにはなる。休日は減ってしまうが、トータルで2700万円ぐらいは十分に確保できる。税引き後の年収や社会保険料を考えるとほとんど変わりないレベルであると思うが、「優秀だからあえてフリーランスになりました」という人を見てみたい。
医学部に入るとこのおばちゃんのような人物はよくいる。たいして優秀でもないのに「私は優秀」というオーラを出している人物である。距離感が近くなると煩わしいので一定の距離を保ちながら接する必要がある。調べてみたらこのおばちゃんは「私が月給14万円の医局員から年収3000万円のフリーランス医師になった訳(2018)」なんて記事も書いている。もうこれ見ただけで信用できないなとすぐわかるが、月給14万だけど、それって当直手当別では？外勤別では？優秀なら講演料も多いでしょ？込々で1000万円超えているのでは？このように「嘘は言ってないよ。あなた（読み手）が勝手に大げさにとったんでしょ」みたいな表現をする人物は信用できない。なので、今回の記事もその人物なりの記事だということである。
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