2021-01-12
22:55:43
 三重大学医学部の麻酔科教授が収賄で逮捕されたが(※1)、この背景には同大学麻酔科医局の闇が大きく関係しているようだ。facebookでも内情を告発している記事(※2)が出てくるなど、そのパワハラ、教授の利権をむさぼる様は見ていて痛々しい。こうなると何が問題かというと、医療の質が著しく低下するのだ。facebookの告発記事でも医療事故がどうとか書いてあるが、それは必然である。
 医学部、医局の場合は世界が狭く、周囲の監視も行き届かない環境であるため、このような闇はいくつも存在するであろう。私はこれまで非常勤を含め5つの病院に勤務してきたが、初期研修で勤務した病院は完全に腐敗していた(病院というより現場が、といったほうがいいかもしれない)。埼玉県の公立病院で、マッチングでも人気であった。当時は倍率3倍ぐらいだったかと思う。腐敗の内容は、「全て研修医に押し付ける」というものであった。病院としては「研修医を鍛えるため」という名目であったが、現場がその言葉に甘えて医療の質が大きく低下していたのだ。具体的には以下のようになる。

  • 当直帯の救急外来は研修医任せ。「ファーストタッチを研修医に」という病院はよくあるが、基本的には全て研修医が診て帰す。救急車を受けた上級医は現場に来ない。手術や入院の必要性がある時、心肺停止患者が来た時のみ現場に現れる。
    • ただ、他病院から移籍してきた医師は救急外来で一緒に診療をしてくれる。
    • 外科当直齋藤医師に「虫垂炎かもしれないので来てください」とお願いしたところ、「かもしれないってなんだ。虫垂炎じゃないと行かねーぞ」と返された。
  • 当直帯の救急外来にて、看護師業務も研修医がやらなければいけない。患者搬送、採血、スピッツの用意、点滴の用意、速度の調整。看護師は看護記録を付けるだけ。
  • 病棟業務にて、看護師がするべき採血を研修医がしなければいけない。採血の難しい患者がいたとき、当直中、就寝中に「採血してもらえますか」と呼ばれる。
  • 全体的に看護師のプロ意識が低く、看護師業務を研修医任せにする。
  • とすると、同僚間での切磋琢磨する関係が築けず、意欲は仕事に向かない。教えて教えられて技術を伸ばしていこうという雰囲気ではなく、看護師が後輩看護師を怒鳴り散らして泣かせている現場を何度も目撃している。
  • 当然、病棟のアラームへの対応も遅く、2010年頃にはアラームを無視して死亡者が出て新聞沙汰になっている。
  • 当直手当の減額があった。これは、契約内容と異なるため違法であるが、当時の研修部長(外科医)が研修医全員を集めて「当直手当を下げるけどいいな」「わかりました」という会議を開き、それを録音し、言質を取るということをした。
  • 「有給は使うな」と初日のオリエンテーションでアナウンスされ、現に使用できなかった。

 全体として、「研修医に押し付ける」という方向性で腐敗しており、それ故に現場の医療の質はだだ下がりであった。「病院ってこんなものなのかな」と思っていたら、残りの4つの病院は全く違っていて、院内の規則は順守されて医療の質も担保されていた。

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