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概要 †
解説 †
- 埼玉県所沢市に位置する大学校であり、1974年に自衛隊医官を養成するために設立された。
- 通常の医学部が文部科学省の管轄であることに対して、本校は防衛省の管轄となっている。
- 一般の医学部とは一線を画し、学生は防衛省職員の身分となり様々な手当を受けることができる。身分は特別職国家公務員であり、学生手当、賞与、食事、制服等が支給される。
- それと引き換えに、全寮制を強いられ、卒後の縛りもある。訓練課程として基本教練、体育、水泳訓練、スキー訓練、部隊実習等を行う。とはいえ上下関係や規律に関しては、防衛大学と比較するとゆるい。
- 年齢制限が公式に設けられており、入校年度の4月1日時点で18歳以上21歳未満であることが条件である。再受験生にはかなり厳しい、というか大卒者にとっては受験そのものが不可能である。
- 受験料は無料であり、多くの受験者が併願をする。医学部受験生の他、東大京大志望者など幅広い受験生が集まる。
- 女性比率は15〜30%程度である。
- 毎年10月に筆記試験、12月に面接試験があり、1月に合格発表がなされる。他医学部に先んじて入試を実施しており、学費もなし、日程被りもないため、5,000名を超える受験生が受験をする。2010年前後には7,000名を超えていたが、医学部人気の低下とともにその人数は減少している。
- 防衛医科大学校の受験者数は医学部人気の良い指標である。
学費 †
入学した学生は定員外の防衛省職員・自衛隊員となり、大学校の入学金と授業料は無料で、毎月の学生手当と年2回の期末手当(月額131,300円。期末手当が年額446,420円)、および被服が支給される。また、本人の医療費は防衛省管轄の病院で受診した場合は全て国が負担することとなっている。
9年以内に自衛隊を退官する場合は、大学校卒業までの経費(最高4,363万円(令和5年3月卒業生の場合))を国庫に返還する必要がある。しかし、近年は自衛隊病院にいては臨床経験を積むことが困難であり、医師としてのスキルアップに不安がある等の理由から、3分の1の者が9年の年限を待たずに退官している。
年齢制限 †
- 応募資格として日本国籍を有する者で、入校年度の4月1日時点で18歳以上21歳未満であることが条件となる。
入試傾向 †
- 試験の時期は他の医学部と異なり数カ月早い。以下、令和7年度入校
- 受付:7/1(月)〜10/9(水)
- 1次試験:10/19(土) 筆記試験、小論文
- 2次試験:12/11(水)〜13(金)の間の指定された1日 口述試験、身体検査
- 合格発表:1次11/28(木)、最終1/30(木)
- 国立私立問わず、医学部を目指す者が腕試しに受けることも多い。また、東大理1、理2志望者の受験もあるが、模試代わりに受験するだけで2次試験は棄権する。
- 2次試験は以前は2日間であったが、小論文を1次試験にすることで1日のみとなった。面接と身体検査が行われる。
筆記試験 †
- 英数は各90分、国は45分、理は60分×2科目(出願時に物化生から2科目選択)の択一+記述試験がある。過去問類似問題が出ることが多く、解答スピードが求められる。
- 令和4年度入校者より国語総合から古文及び漢文がなくなるとともに、一次試験は2日間から1日での実施に変更された。なお、一次試験での小論文は、2次試験受験者について採点される。
- 択一式試験の結果によっては記述式を採点しないと公式に発表しているので実質的な足切りが存在するが、足切りとなる点数に関しては非公開である。(7割位ではないか?と言われている。)
面接 †
- 集団生活と償還金についての質問は頻出である。
- 正直に「滑り止め」と答えても落とされることはないが「入校する気はない。」と答えるのはNG
- 面接で落ちる者はほとんどいない。
小論文 †
- 1次試験時
- 45分
- 医療系の題材を読んで600字の論述をする。
身体検査 †
- 胸部単純X線、採血採尿、血圧、聴覚視覚、身長体重胸囲、内科外科整形診察をおこなう。
- 合格基準の主なもの
項目 | 基準 |
身長 | 男性150cm以上、女性140cm以上 |
体重 | 身長との均衡を保っている者 |
視力 | 両側の裸眼視力が0.6以上又は矯正視力が0.8以上の者 |
歯 | 多数のう歯、欠損歯(治療を完了したものを除く。)のない者 |
その他 | 慢性疾患や感染症に罹患していない者。 気管支喘息や感染症。いずれもコントロールが良ければ問題ない。 開腹手術の既往歴がない者。 ただし、鼡径ヘルニアや虫垂炎はよい。 てんかん、意識障害の既往歴は不可。 |
- 上記が全てではないが、引っかかりやすいところを記載した。
- 視力に関しては0.1以下の者も多いと思うが、補正度8.0まで許容してくれる。概ね大丈夫だと思われる。
- う歯は既往はあっても多数ではないと思われるので、概ね問題ないかと。
参考文献:防衛医科大学校受験要項
補欠の繰上り †
- 合格発表日に簡易書留で補欠通知が発送される。
- 地方協力本部の担当からも電話がある場合もある。自分から問い合わせたら「補欠に入ってます」と言われた者もいる。
- 補欠通知には、「採用予定者数に達しないと判断された場合、個別に繰上げ合格の手続きを行う。(手続開始予定時期:3月中旬頃)繰上げ合格となった方へは電話にて連絡する。」との記載あり。
- 番号設定はなく、非公開のため、実態は不明である。
入試結果 †
倍率 †
年度 | 定員 | 受験者 | 合格者 | 倍率 |
2024 | 85 | | 322 | |
2023 | 5684 | 324 | 17.5 |
2022 | 5391 | 330 | 16.3 |
2021 | 4883 | 329 | 14.8 |
2020 | 5199 | 322 | 16.1 |
2019 | 5516 | 283 | 19.5 |
2018 | 5931 | 336 | 17.7 |
2017 | 6120 | 338 | 18.1 |
2016 | 6068 | 337 | 18.0 |
2015 | 6497 | 286 | 22.7 |
2014 | 80 | 7198 | 268 | 26.9 |
大学生活 †
立地 †
- 西武航空公園駅から徒歩5分ほど、所沢航空公園に隣接する市街地にある。
- 全寮制。防衛大学と比べると縛りつけは緩い。起床は6:30で、消灯は24時。外出外泊も可能
学生舎(寮) †
- 2人1部屋であり、1年生と3年生、2年生と4年生がペアとなる。5年生6年生は学年同士である。5年生から個人の冷蔵庫が保有可能である。
- 2人部屋で入口は同じだが、中央の仕切りもあるため、ほぼ個室である。
- 外出に関しては、土日祝日に関しては8時から23時まで可能である。平日に関しては4年生までは原則として不可であり、5-6年生は申請次第である。
- 外泊に関しては、1年生は最初の1ヵ月は制限がある。
- 防衛大学校は1年生の間は制服外出だが、防衛医科大学校は初めての外出から私服外出である。
福利厚生 †
- 無料:学費(ただし、教科書等は自腹購入有り)、寮費、食事(3食)、施設費、水道光熱費 、医療費(学校内や自衛隊病院では無料、外部は3割負担)
- ゲーム可、ネット可(個人契約)、自炊可。
- 償還金:勤続年数に応じて減額される。義務年限9年で償還金0となる。ただし、9年未満でやめる場合は、研修医の2年は計算に入らないので注意が必要である。(卒業後7年でも研修医の2年間は入らないため、5年分の償還金が減り、残り4年分を償還する。)
生活 †
6:30 | 起床 |
6:35 | 日朝点呼 |
6:45-7:35 | 朝食 |
8:00 | 国旗掲揚 |
8:00-8:15 | 朝礼 |
8:30-11:45 | 午前課業 |
11:50-12:40 | 昼食 |
13:00-17:00 | 午後課業 |
17:15 | 国旗降下 |
17:30-18:30 | 夕食 |
17:00-20:40 | 入浴 |
20:50 | 日夕点呼 |
21:00-24:00 | 自習 |
24:00 | 消灯 |
訓練 †
- 計507時間の訓練(1〜3年が主)があるが、防衛大学校に比し、ほぼ体験的なものである。
- 基本教練、体育、水泳、スキー訓練及び部隊実習等
- 水泳訓練は、最終的に2年時の遠泳がゴール、泳げない人にはキツイがちゃんと泳げるようにしてくれる。
卒業後 †
- 卒業後は、陸海空の曹長に任官し、医科幹部候補生として陸上・海上・航空の各幹部候補生学校で約6週間の教育訓練を受け、卒業後、医師国家試験に合格した者は幹部自衛官(2尉)に任官する。なお、国家試験不合格の者は、3尉となり、1年間勉強漬けとなる。
- 2年間の初任実務研修(防衛医科大学校病院又は自衛隊中央病院)を受けるが、大学の医学部で実施されているマッチングは行われていない。その後、自衛隊病院や部隊などで勤務する。
- 卒業時に任官拒否をする者はいない。拒否の場合4,363万円の返還が必要となる。
- 返還に関しては原則1回払いである。申請が認められれば2年間4回払い(半年毎償還)である。
- 卒後の大まかな流れ
年次 | |
1 | 6週間の幹部候補生学校 |
1〜2 | 初任研修を防衛医科大学校又は自衛隊中央病院で |
3〜4 | 自衛隊病院や部隊の衛生隊など |
5〜6 | 専門医研修を防衛医科大学校で |
7〜11 | 研究科にて学位論文を取得を目指す。義務年限終了。 |
- 上記のうち、医師として勤務できるのは実質4年間。年次に比して経験は不足しがちである。
- 研究科に進む前に辞める者は1/3程度
- 研究科を終えたらほとんどの者は退職する。残る者は1〜2割
防衛省共済組合 †
- 自衛隊員が利用できる金融システムであり、利率が高い。
- 現在、ネットバンクのあおぞら銀行でも0.25%で、メガバンクは0.01%という低さ。一方、防衛省の共済組合の定期貯金は利率が0.94%(R4.4.1現在)なんと約3.75倍
- 防衛省共済組合の定期貯金は300万円が限度であるが、それでもかなり有利となる。
コメント †
過去のコメント †
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コメント/防衛医科大学校2016年1月〜6月
コメント/防衛医科大学校2016年7月〜10月
コメント/防衛医科大学校2016年11月〜12月
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コメント/防衛医科大学校2017年4月〜10月
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